急拡大する「糖質制限」市場が日本を救う! 3000億円を突破!新市場をこう攻めよ
逆に、高齢になっても健康体ならば、旅行にも行けるでしょうし、趣味も楽しめますので、かなりの消費が起こり、その分も経済活動にもプラスになります。もちろん、高齢になっても働く人が増えることになり、労働力の面からも経済に大きなプラス効果をもたらすことでしょう。税収の面からも財政に寄与するはずです。
つまり、糖質制限食で健康寿命が延びれば、医療費や介護による経済的なマイナスが消え、高齢者の生活の質が上がり、消費や労働力の面でプラスの経済効果が表れるという二重の効果が出るわけです。
以上のように、「糖質制限」市場の急拡大、生産性の向上、医療費削減、高齢者の活性化、消費拡大、労働人口増加などが相まって、糖質制限食は、日本社会に極めて大きなプラスのインパクトをもたらすと私は考えています。
“脱”炭水化物農業の可能性
以上のような糖質制限食普及による日本経済へのプラス効果のお話をすると、日本農業との共存が問題になるのではと心配される方もいらっしゃいます。
確かに糖質を制限すると、どうしても米や小麦などの穀物の需要が下がります。現在のような稲作中心の日本農業は転換を迫られるかもしれません。
ただ、稲作の必要性が小さくなれば日本の農業がダメになるかというと、そんなことはないと思います。穀物の需要が下がっても、それによって減った分だけ、別の食品でエネルギーを取ることになるからです。
糖質を減らした場合、脂質やたんぱく質を増やして補いますが、栄養学の観点から見れば、特にたんぱく質の確保が重要になります。
たんぱく源となる食品としては、豚肉や牛肉、鶏肉がありますが、これらは生産の効率が非常に悪くなります。なぜなら、こうした畜産では主な飼料が穀物であり、1㎏の畜肉を生産するのに、牛肉で11㎏、豚肉で7㎏、鶏肉で4㎏の穀物を必要とするといわれているからです。
つまり、今まで直接穀物を食べることで摂取していたエネルギーを、単純に畜肉で補おうとすれば、何倍もの穀物を飼料として生産しなければならなくなるということです。これは非常に効率が悪く、現在の世界的な農業事情から考えれば実現不可能でしょう。
そこで有望だと思われるのが、大豆です。大豆は豊富にたんぱく質を含んでいて、糖質制限食のOK食材であり、穀物と比較しても、エネルギーベースの生産効率は悪くありません。加工食品もとても豊富です(豆腐、納豆、大豆、みそ、しょうゆ……)。
日本農業について言えば、現在の稲作から大豆生産へとシフトして、穀物需要の低下を、たんぱく源である大豆の需要拡大で補えばいいと思うのです。これに、糖質が少ない野菜などの生産や、鶏などの飼育を組み合わせた有機農業もありうるでしょう。
こうした“脱”炭水化物農業を考えることは、単に水田の規模拡大を図るよりも、日本農業の真の競争力につながるのではないでしょうか。
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