「厄年」が何の宗教に基づくか知っていますか 信者でもないのに教会に行ってもOK?

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ハナ:無関係? へええ。翔太のスマホの水晶つきのストラップさ、何だっけ?

翔太:え。あ。えーと、……厄除けのお守り。

ハナ:そ。25歳の厄年の時に、お母さんからもらったんだよね。スマホ買い換えても、付け替えて持ってるよね。

それから、大みそかの夜から元旦にかけて初詣に行く……2年参りだっけ。翔太、毎年行きたがるよね。私がカウントダウンイベントに行きたくても、絶対ゆずらないよね。それから、こないだ結婚した翔太のお兄さん、キリスト教の式だったよね。それから――。

日常と親和性の高い宗教

大将:ちょ、やめやめ。ハナちゃん、だっけ? そこらへんでやめとこう。正論で追いつめると、男って逆ギレしちゃうからさ。ほれ2人とも、やきとり食べて、一呼吸置きなよ。でも先生、そうやって並べ立てられて気づいたけど、宗教的な代物っていうのかな、日常にけっこう入り込んでますよね。

島田:宗教は文化との親和性が高いですからね。社会に完全に埋め込まれていて、今さら「これって、宗教関係だなあ」とも思わない。このお店にも、いろいろありますよね。

翔太:あ、そこの熊手。

大将:ああ、大鳥神社の酉の市で買ったんだよ。

ハナ:招き猫。

大将:それは豪徳寺で。

翔太:コンロのところのお札も?

大将:火の用心のな。京都の愛宕さまでいただいてきた。

ハナ:左手のミサンガ。

大将:これもか! 娘が編んでくれたんだよ。

島田:ははは。有名どころのものを手当たり次第に集めていますね。

大将:商売の験担ぎだしね。特に「これ、宗教的なものだわ」とは思ってなかったなあ。

翔太:オレもそうです! 宗教のものっていうより、なんか単なる「風習」ってやつ? だから、特に関心もなかったし。でも、「教会」で、「クリスマス」で、おまけに「ミサ」ってなると、どうしたって宗教色を強く感じるでしょ。ちょっと距離を置きたいっていうか。

ハナ:えー、それって――。

大将:ハナちゃん、あんまり追いつめると、「じゃ、ミサ、行かない」ってなるから、やめときな。

ハナ:――ぐぬぬ……。

島田:じゃあ、その宗教的代物について、面白い話を1つ。その厄除けのお守りですけど、そもそも厄年って、何の宗教だと思います?

翔太:仏教、かな……? これ、おふくろがお寺で買ってきたヤツだから。

ハナ:でも、厄から守ってくれるんだから、神さまかも。え、どっちだろ?

島田:厄祓(やくばら)いを神社やお寺でやってるんで、「厄年は宗教的なもの」と思いがちですけど、宗教と関係があるかっていうと、本当はないんですよね。仏教の教えや神道の考えに、厄年っていう概念はない。

翔太:えっ、ないの?

島田:ええ、ありません。起源は陰陽道あたりでしょうね。これは、日本古来の自然観に中国の儒教や道教が混じったものなんですけど、そこに「暦を読む」っていうのがあって、そこから生まれたのです。「この年齢には警戒しなきゃ」とか、「その歳には厄が降りかかるぞ」とか。「その警戒しなきゃいけない年齢って、いつ?」かというとそれは人それぞれ。じゃあ、どうして今、同じ年齢で厄年になるかというと、これが単なる語呂合わせ。

翔太:えええっ。

島田:男の大厄って、42歳でしょう?

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