悪質「不動産コンサル」の食い物になる人たち 不当な「マージン」の慣習はいつまで続くのか

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不動産業界のリベート慣習の根は深い。顧客が新築アパートを建てれば、3%程度のバックマージンを得ることができる。この場合、賃貸管理会社もセットで紹介し、管理料5%のうち2%をバックマージンとして毎月受け取っているケースもある。

司法書士、プロパンガス店からも……

ホームインスペクション(住宅診断)も例外ではない。ホームインスペクターが仲介業者に営業に回って仕事の紹介をお願いし、「つきましては紹介料をお支払いします」とやるわけだ。同様に、賃貸の仲介時に顧客に引っ越し業者を紹介すれば5千円から1万円程度の紹介料を得ることができる。不動産登記を業務とする司法書士や、プロパンガス店からも多額の紹介料を受け取れる。

もちろんすべての業界人がこのようなことをしているわけではないが、こうした慣行は、この業界では半ば常態化している。こうした業界の構造、仕組みがどのようになっているのかを知ることは、ムダな支出を減らし、必要なところに適切にコストを掛けることにつながる。特に、額が大きく動く大規模修繕の場合は、「不自然に安すぎるコンサル」には十分注意しよう。

最後に、「敵は内にあり」というケースもあるので注意したい。世田谷区の某マンションでは、理事長が10年以上変わらなかったこともあり建設会社と癒着してしまい、長年に渡って多額のリベートを受け取っていることが発覚した。

マンションの修繕積立金といえば、中規模のマンションでも軽く数億円にものぼり、大規模マンションなら10億円単位と巨額だ。この資産を狙われる、奪われるのは、マンション管理に関心が薄い所有者が多いマンションであることは言うまでもない。つねに自分の頭で思考をめぐらせて判断していかなければ、いつ「カモ」にされてしまうかわからない。それが現実なのである。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

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