森友学園問題、不動産のプロはどう見たか 渦中の現場で見えた「不自然な事実」とは?
大阪府豊中市の国有地が、学校法人「森友学園」(大阪市淀川区)に以前の評価額より大幅に安く払い下げられていた問題が本国会の一大争点になっている。この不動産取引について先に結論を言うと、「違法性はないが異例、あるいは不適切」といったところだろう。
あまりに不自然な事実が多すぎる
当初、「定期借地契約」が結ばれたこと自体には何ら問題はない。従来型の国有地処分といえば、売却が基本だったが、財務省は、2010年6月18日に公表した「新成長戦略における国有財産の有効活用」の一環として定期借地権を利用した新規の貸し付けの検討を開始した。そして同じ年の9月には世田谷区からの要望を受け、保育所用地の貸し付けを行っている。事業者にとっては、土地を取得する場合に比べ、初期コストが抑えられるメリットがある。
しかし、森友学園側からの強い要望で10年間の定期借地契約が結ばれた(2015年5月29日)にもかかわらず、新たな地下埋設物発見(2016年3月11日)の直後(3月30日)、契約から1年も経たないうちに森友学園が財務省に対し、土地購入希望を申し出た点は理解に苦しむ。
また、それを財務省が受け入れたあと、大阪航空局が8億1974万1947円(以下8億1900万円)の埋設物撤去費用について見積もりを出していることも、不動産取引の慣行に照らして考えると異例だ。
一般的に、このような場合には2つの方法がある。1つは「売り主側で埋設物撤去を行った後に引き渡しをする」、もう1つは「買い主が複数見積もりを提示、売り主が了承し相応の実質的値引きを行う」だ。
それが今回は「売り主側から見積額が提示され、工事は買い主側で行う」といった手法がとられたことで、不透明感が増した。また、開示されている情報からは埋設物処理コストとして妥当な価格に見えなくはないが、見積もりについて詳細が示されないことも不透明さに輪をかけている。
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