たった10秒で起承転結「駅メロ」の奥深い世界 トップ作曲家が明かす発車メロディ制作秘話

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――あちこちの駅で塩塚さんが作った駅メロが流れていますが、それをホームで聴いていて、どんな気持ちがしますか。

塩塚:確かにこの仕事に携わりはじめた1994年ごろは「使われている!」と嬉しい気持ちになることはありましたが、20年以上かかわっていると、さすがにもう感動はしないかなあ。駅で流すために曲を作っていますし、それが僕の職業ですから。逆に、終電なんかで延々と自分の曲が流され続けているのを聴くと、「頼むからもうやめて~」と思いますね。せっかく親しまれている曲なのに、これで皆が嫌いになったら悲しい(笑)。

――最後に、駅メロについてご自由に意見を述べてください。

塩塚:まだまだ発展する伸びしろのある音楽だと思います。最近では、戦略的な駅メロが増えましたが、今後もその傾向が続くのは間違いないでしょう。それから、新規路線開業に合わせて駅メロが導入されたとき、あるいは今まであった路線が駅メロを導入するとなったときには、やっぱり皆さんから大騒ぎしてもらいたいです。

小川:メジャーな鉄道会社ではほぼ駅メロが採用されていますが、地方では駅メロのないところもたくさんあります。駅メロ1曲を作るのはそこまで費用がかかるものではないから、どんどん町おこしに活用してもらいたいです。

たった10秒の、それも耳に自然な形で入ってくる駅メロは、そのさりげなさゆえに、逆説的だが「耳で聴くデザイン」であり、「強烈な町おこし」であるといえるかもしれない。

蜂谷 あす美 旅の文筆家

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はちや あすみ / Asumi Hachiya

1988年、福井県生まれ。出版社勤務を経て現在に至る。エッセイやルポのほかトークイベントで活躍。2015年1月にJR全線完乗。神奈川県在住。http://hachiyasumi.hachiyasumi.com/

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