たった10秒で起承転結「駅メロ」の奥深い世界

トップ作曲家が明かす発車メロディ制作秘話

駅の発車メロディの世界は奥深い(写真 : Komaer / PIXTA)

今この記事をご覧になっている人の中には、駅の発車メロディ(駅メロ)に促されるように通勤列車に乗りこんだ人もいることだろう。

駅メロは1989年のJR渋谷駅、新宿駅が発祥だといわれている。かつては放送設備の更新時にあらかじめ納品された数十曲のメロディの中から鉄道会社側が選んで流すという例もあった。しかしここ10年ほどで、駅メロ業界を取り巻く環境は大きく変化しているという。

現在の駅メロ制作の舞台裏について、20年以上この仕事に携わってきた駅メロ制作会社である株式会社スイッチの小川洋一会長と作編曲家の塩塚博氏に話を聞いた。

最近はオリジナルよりもご当地ソングが人気

――一般的に駅メロはどのようにして選ばれているのですか。

小川会長(以下、小川):鉄道会社によってさまざまですが、路線単位での受注が多い時期がありました。したがって何駅用の曲というわけではなかった。でも最近は駅ごとの「ご当地ソング」が増えています。

路線単位であれ、駅単位であれ、以前との大きな違いは、町のイメージとの連動性を鉄道会社側が重視し、駅メロの存在価値が高まっている点が挙げられます。昔は、「発車の合図音程度で十分」というような駅メロもありましたが、今は顧客サービスの中に駅メロも組み込まれている。また、昔は駅メロにふさわしい書き下ろしのオリジナル曲がほとんどでしたが、最近は駅メロが町おこしの要素になってきていることから、オリジナル曲よりも駅に合った曲が要望として多く、その土地にゆかりのある曲を元にしたアレンジ物が増えています。もはや駅メロで1つの文化になったともいえます。

――各駅の駅メロが選ばれるプロセスは?

小川:これもやはり鉄道会社によって違いますが、最初に制作会社のコンペがあり、会社としての制作能力が問われることもあります。その場合は勝ち抜いたうえで、ようやく塩塚さんに曲の依頼ができるわけです。

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