日本とはかなり違うフランスの「家飲み」事情 何が避けては通れない「話題」なのか
かぶらないように事前に指示してくれるホストもいますし、ゲスト同士で「何持っていく?」と相談するケースもあり、バラエティに富んだフードを楽しむことができます。
フランスで特徴的なのは「男子飲み」
ソワレには、日本の家飲みと同じようにいくつかのパターンがあります。それは、大きく分けて(1)女子飲み、(2)男子飲み、(3)カップル飲み、(4)ノーテーマの単なる飲み、の4つ。
もっとも特徴的なのは男子飲みです。
フランスの男子飲みはサッカー観戦飲みと決まっています。女子(妻であろうと彼女であろうと)には遠慮してもらい、ビールとポテトチップス、フライドポテト、ピザなどジャンクフードをどっさり買い込んで試合に臨み、大画面のテレビの前ですべての感情を解放します。ワインと美食の国、のはずのフランスですが、男性同士だとこんなものです。
女子飲みの場合は、シングルだった女友だちに彼氏ができたり、逆に別れたりといったことが起きると、「東京タラレバ娘」のように緊急招集がかかります。
男女、あるいはシングルか恋人持ちか問わないソワレは、出会いの場になることもしばしばあります。
フランス人はソワレでさまざまなことを長時間話すため、相手がどんな考えを(とくに仕事や人生に関して)持っているか、また、自分と異なる意見に遭遇した時にどんな反応をするかなどがよくわかる人間観察の場ともなっているのです。ここが日本とは大きく違う部分でしょう。
それぞれの近況報告から始まるのが一般的ですが、自分の現在の仕事や将来のキャリアについての考え、家族、政治、経済、例えばそこに外国人がいればその国の文化についてなど、いろいろなテーマについて(しかもひとつひとつ長時間)語り合います。
とくに今年は大統領選挙の年にあたるため、各候補の公約(失業対策、教育、福祉対策など)に関する話題も盛り上がります。
フランスは日本のように源泉徴収制ではなく、各自が確定申告を行うため、税金の使われ方についての意識はとても高いです。また、それ以前に、政治・経済の話は必ずと言っていいほど話題にのぼります。
ソワレに参加すると、「あなたは(これについて)どう思う?」とよく聞かれます。
フランス人は自分の意見を話すことも大好きなのですが、自分以外の人がどのように物事を捉え、分析するのか知ることにとても興味を持っているのです。私も意見を聞かれた時は日本の状況を交えながら答えることにしていますが、やはりフランス独自のことに関する話題となると、留学生の私としては返答に困ることがあります。
大切なのは、自分の意見をわかるところまででもしっかりと話すことです。相手と反対意見を言っても険悪になることはまずありません。もちろん、いろいろと質問されることはありますが、個人の意見は違って当然という意識がベースにあるということを感じます。