痴漢の疑いで「線路に逃走」がダメな法的理由 犯人でなくても逃げると逮捕の可能性がある

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行為態様にもよるが、痴漢はいわゆる迷惑防止条例違反や強制わいせつ罪(刑法第176条)に該当する犯罪である。必要があれば確かに逮捕されることになる。

駅員室に連れていかれるとそのまま警察に捕まる、とよくいわれる。現行犯人は警察でなくても逮捕することができ(刑事訴訟法第213条)、私人が現行犯人を逮捕した場合にはすぐに警察等に引き渡すことが必要とされていることから(刑事訴訟法第214条)そのまま警察に身柄を引き渡されて拘束されてしまう可能性があるということや、そもそも警察の到着を待って警察に現行犯逮捕(準現行犯逮捕)されるということを指しているものと思われる。

そのため、現行犯逮捕されることを回避するためにすぐに現場から立ち去ることが推奨され、さらには積極的に逃げろという話につながるのであろう。

逃げ出すと高まる逮捕の可能性

しかし、無理やりに逃げることにはリスクが伴う。

被害者とされる人を含め周囲に人がいる中で逃げようとすると、逃がすまいとする人との間に摩擦が生じる。物理的に力を使えば暴行罪(刑法第208条)、ケガをさせれば傷害罪(刑法第204条)が成立しうる。狭いホームの上でもめ事が起きれば線路への転落事故や列車への接触も起こりうる。

しかも、その場から無理やりに逃げ出したとしても、後日身元が判明し、かつ罪を犯したと疑う相当の理由ありと認められてしまえば、逮捕状を得ての通常逮捕の可能性が高まる。逮捕をしなければならない必要性がなければ通常逮捕は認められるべきではないが(刑事訴訟規則第143条の3、犯罪捜査規範第118条)、無理やり逃げたという事情があれば逃亡防止のためなどの理由で逮捕の必要性ありと認められやすくなるからである。

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