ソニーに見えた復調の兆し 3年ぶり第1四半期純益黒字化、大株主との神経戦続く

拡大
縮小

一方で悪化した事業もある。ビデオカメラ、コンパクトデジタルカメラなどのイメージング・プロダクツ&ソリューション事業は前年同期126億円のセグメント営業黒字が81億円へ縮小。ゲーム事業は前年同期35億円の営業赤字から148億円の営業赤字へと赤字幅を拡大させた。イメージングセンサーなどのデバイス事業も、前年同期の営業利益159億円を108億円へと縮小させている。

通期見通しについては為替前提を期初の1ドル90円から100円へと切り替えたことにより売上高を7兆9000億円へ4000億円増額した。しかし、利益については、円安ドル高がマイナス要因となることから期初計画を据え置いた。

サード・ポイント関連の質問には答えず

一方、ソニーは、ヘッジファンドでソニーの議決権の7%程度を握るとされるサード・ポイントから映画子会社、音楽子会社を上場させるよう提案を受けており(関連記事「ソニー解体? 株主との神経戦」はこちら)、その提案に対し、どのように応えるが大きな焦点になっている。

これに関連して、一部メディアが7月31日開催の取締役会の議論の内容について、「サード・ポイントからの提案を拒否し、エレクトロニクスと映画・音楽を一体運営していく方向で議論が進んだ」と報じたことから、決算説明会の席でどう説明するかも注目点だった。

ところが、この質問に対してはゼロ回答だった。「議論の詳細やスケジュールについて話せるようなことはない。ファイナンシャルアドバイザーからの客観的な意見を入れながら、議論をしているところではあるが、どういった意見をもらっているか、という点についても開示できない」(加藤CFO)。サード・ポイントを刺激することがないように配慮している様子だった。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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