自動車業界であっても、組合がベアを要求しないケースが増えてきました。組合も、そんなに給料が上がると思っておらず、その代わりに雇用維持に軸足が置かれているという印象です。働く人の気構えとしては、給料が上がることを望むよりも、いまの給料を維持する、働く場を確保するという感覚のほうが現実的です。
雇用を守り、努力をする企業はもっと評価されるべき
日本で賃金が上がらなかったのは、エネルギー価格の高騰分を企業が製品価格に転嫁しなかったことに加え、賃上げより雇用を守ることを優先したからです。賃金を上げていないにせよ、労働者の雇用を守り、消費者にいいものをより安く提供している企業の経営者には、私は大いに賛同しています。
アメリカは首を切られた人間と切られない人間で、格差が拡大しています。アメリカの場合はセーフティネットが弱く、失業者になって6カ月くらい経ってしまうと、そのままずっと就職できずに貧困層、あるいは貧困予備軍に転落するケースが多いといわれています。日本は、基本的には全体の雇用を守る。そこがアメリカ企業とは違うところです。
そういった面が全部無視され、経済学者や政治家、あるいはマスコミも、デフレは悪いと言い、デフレスパイラルなどという言葉を使ってきました。日本は唯一デフレで、長期低迷に悩んでいて、他国より生活が悪くなっている。それは明らかに嘘です。むしろ、インフレにすれば、さらに生活は悪化します。
しばらくはデフレのままでいい。それが、私の持論です。
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