「ミシュラン3つ星店」支える精神科医の存在

激しい競争を勝ち抜くには癒やしが必要

ミシュラン3つ星レストランのアル・サリェー・ダ・カン・ロカで、セラピストを務めるインマ・プーチ氏は、サッカーチーム、FCバルセロナのセラピストとしても活躍していた(写真:Samuel Aranda/The New York Times) 

バルセロナから車で約1時間。「アル・サリェー・ダ・カン・ロカ」は、世界のレストランガイドでつねにトップクラスにランクされる高級レストランだ。伝統的なカタルーニャ料理に独創的なひねりを加えた料理は、今年もミシュランガイドで三つ星を獲得した。

だが、その成功の裏で、ある「秘密兵器」が大きな役割を果たしていることはあまり知られていない。専属セラピストだ。

競争の激しい世界で頂点を維持するためには、スタッフは多くの不安や葛藤を抱えがちだ。そこでアル・サリェーでは、地元のサッカーチーム「FCバルセロナ」のセラピストとして活躍していたインマ・プーチ(63)の助けを借りることにした。

ランチ営業がない毎週火曜日、プーチはアル・サリェーにやってきて、スタッフの声に耳を傾ける。「厨房は高温で、たくさんのスタッフが隣り合って猛スピードで仕事をしている。それも包丁を持って。とても緊迫した職場であるのは間違いない」。

普段は言えないことが言える

厨房だけではない。ソムリエやウエーター、レセプショニストなど60人のスタッフも、期待に胸を膨らませてやってくる客の要求に応じなければならない。なにしろ55席のアル・サリェーは、11カ月先まで予約がいっぱいだ。客は少なくとも1人190ドルを支払っていく。

だからプーチは、トピックに応じてスタッフをグループに分けて、全員の話を聞く(ただし料理の話はしない決まりだ)。たとえば最近は、12人のグループと更衣室の改造計画について話をした。

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