不条理な人事を乗り越える人の「心の習慣」

周辺的な位置にいる人こそ強くなれる

――具体的にはどのように変わったのですか?

たとえば出向中、3カ月に1回は熱を出してぶっ倒れていたんですよ。そのくらい、嫌というほど残業したんです。それが「絶対に効率的な仕事のやり方を見つけてやろう」と試行錯誤するきっかけになりました。

そして私が39歳で課長に昇進したとき、すぐさま「仕事の進め方10か条」を部下全員に渡しました。

効率的な仕事のポイントは、要するに3つなんです。1つ目は、計画をもって重要度の高い仕事から順に片づけること。2つ目は、最短コースを見つけて素早く進めること。3つ目は、仕事は結果がすべてだと考えること。これらをもう少しブレークダウンして、10にまとめたのです。

そしてこの効率的な仕事術の推進が、実際にわが身を救うことになりました。というのも課長になったその年に、妻が急性肝炎で入院してしまい、さらにうつ病を併発し、入退院を繰り返すようになってしまったんです。当時は中学生になったばかりの自閉症の長男を含め、3人の子育て真っ最中でしたから、私は是が非でも夕方6時には退社する必要に迫られたわけです。準備ができていなかったら、せっかくの課長昇進をふいにしてしまったかもしれません。

――その10か条が、のちに執筆活動をする原資になったのですね。

そうです。私は元来メモ魔で、つねに2つの手帳を持ち歩いていました。メモを取るとよく覚え、覚えると使う、使うと身に付くからです。1冊には、自分が読んだ本や感動したセリフ、格言、これは使えると感じたフレーズなどをノートにメモする。

「礼儀正しさに勝る攻撃力はない」(キングスレイ・ウォード)

「己の信頼残高を高めよ」(スティーブン・R・コヴィー)

というように。もう1冊には、思いついた言葉を書き留める。

「沈黙は金にあらず。正確な言葉、表現に気を配る」

「3年で物事が見えてくる」

「男にとって女性への考え方、対応は人生や他人に対する考え方の程度を表す」

といった具合です。

「仕事の進め方10か条」も、一朝一夕に生まれたわけではありません。こまめにメモし、それらを吟味、修正しながら時間をかけてまとめたものなんです。

出世とは、各年代の努力の集積が形になって表れたもの

――つねに準備をしてきたと。

若い頃のメモは、何かに備えるためというよりは、純粋に仕事を学び自分のものとするための手段でした。しかし途中からは、出世に備えるという意識に変わってきたように思います。

出世とは、各年代の努力の集積が形になって表れたものです。だから会社員はつねに「年代」を意識して、段階的な働き方をすることがとても重要なんです。30代の出向の意味だって、それが理解できていれば「通過点」ととらえ、前向きな気持ちで仕事の肥やしにしていけるはずです。

――「年代を意識した段階的な働き方」について教えてください。

20代は未熟ですが、変化への対応力や成長の速度はものすごい。ミスや失敗、ムダな遠回りはあっても、へこたれない気力や体力、情熱、学習能力があり、成長角度は無限に近い。

だから無理を要求され、失敗を許されるのです。上司が嫌いとか、悔しいとか、恥ずかしいとか言っていないで、食らいついていったほうがいい。

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