星野リゾート、大阪新今宮ホテル進出の真意 再開発を機に「危ないエリア」も変わっていく

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最後に残った宿泊分野においても、(ビジネスホテルのような)宿泊特化型が出てきた。確かに宿泊者にとって、グランドホテルに泊まっても、レストランを利用しなければ、宴会も結婚式もしない。使うのはフロントとエレベーター、部屋だけだ。それらをコンパクトにして、値段をもっと下げますといった事業者にシェアを切り取られている。

スクラムの組み方を見つけたい

――2017年4月1日から、北海道の「旭川グランドホテル」の運営を受託した。

旭川グランドホテルは赤字ではない。だが、一等地に建っていて、面積も広いという本来のポテンシャルを生かし切れていない。

このホテルには、宴会、宿泊、レストラン、結婚式という4つの事業がある。もっと高い収益を出せるはずだが、それぞれが地元のホテルやレストラン、専門式場などと競争している。

4月1日から運営を受託した旭川グランドホテル。都市観光ホテルの第1号案件となる(写真:星野リゾート)

われわれが運営を請け負った4月1日から、コンセプト委員会を立ち上げた。これはリゾナーレの再建以来、新規の施設運営を請け負う度に行っている取り組みだ。

現場で動いている社員中心に、旭川グランドホテルの課題、都市観光のホテルにどう変わっていくのかをテーマに一生懸命考えている。

これまでのように、バラバラに戦うのではなく、観光目的の宿泊者をターゲットに、どうやってお互いを補完し、協力し合う”スクラム”を組んだら良いのか。

そのためのサービスの再設計、再編成を検討している。夏は忙しくなるので、7月頃までに提案をまとめ、10月に公表する。

ここで得られる知見は非常に大きい。観光客に特化したホテルの食事、部屋、サービスはどうあるべきか。旭川グランドホテルで学び得られた知見をすべて新今宮の開発に生かしていきたい。

さらに、日本中には同じような一等地に建っていながら、ポテンシャルを生かしきれないホテルが数多くある。旭川グランドホテルでそれを生かす方法や、スクラムの組み方さえ見つかれば、ほかの都市にも当てはまるアピールができる。そうすれば(星野リゾートに運営を委託する)案件は劇的に増えるだろう。

――旭川グランドホテルや新今宮の都市観光ホテルは、運営中の「リゾナーレ」、「星のや」、「界」に続く、4つ目の新しいブランドで展開するのか?

新しいブランドや方向性がどうなるのかは、旭川グランドホテルのコンセプト委員会の結論を待ちたい。彼らがどういうコンセプトにたどり着くのか。そのときに名称を変えた方が良ければ変えるし、変えない方が良ければ変えない。

世界には地名がついたホテルがたくさんある。コンセプト委員会の結論によっては、ひょっとすると大阪の新今宮のホテルも「旭川グランドホテル大阪」という名称になるかもしれない(笑)。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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