「寝不足に悩む人」が知らない眠り方の新常識 いつもどおりのリズムを崩さないのが肝要だ

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最初のノンレム睡眠の質を深めて、これらの恩恵を丸ごと受け取れるようにするには、2つのアプローチがあります。

(1)体温を上手に操る

(2)脳を徐々に睡眠モードに持っていく

まず、人は眠るとき、体の内部の温度である「深部体温」が下がる特徴があります。そして明け方まで深部体温は下降を続け、その後、覚醒に向けて上昇を始めることになります。

この入眠の際に必要な「深部体温の下降」を助ける方法として有効なのが、「就寝90分前の入浴」です。深部体温は「上がった分だけ下がる」という性質があり、われわれの実験では「40度のお風呂に15分入った場合、深部体温が0.5度上がる」ことが確認できました。深部体温は大きく上がった分だけ大きく下がろうとするので、40度のお風呂に15分入れば、入眠に必要な体温下降がより大きくなり、最初のノンレム睡眠の質がぐっと深まるのです。

そして、「上がった体温が大きく下がる」には約90分を要します。なので、就寝90分前に入浴できれば、いつも寝る時間の頃には体温がスムーズに下がって、眠りやすくなるのです。

「靴下を履いて寝る」とぐっすりが遠ざかる?

「深部体温が下がる=睡眠」「深部体温が上がる=覚醒」ことはご存じの方も多いと思うのですが、実はここにもうひとつ、別の種類の体温が関係してきます。

それは「手足の体温」。赤ん坊で顕著なのですが、眠くなってくると、人は手足が温かくなる性質があります。これは手足から熱を放散しているからで、手足から体内の熱が逃げることで深部体温は下がり、入眠に向けての準備が開始されるのです。

睡眠中も手足から熱が放散されることで、深部体温の下降が促され深い睡眠がやってきます。なので、冷え性対策でよく提唱されている「靴下」の重ね履きをすると、熱をうまく放散できなくなって深部体温がしっかり下がらず、結果、寝つきが悪くなって眠りの質も浅くなってしまうのです。

「冷え性でつらい」という方は、入浴の際、足湯などで足を温めて熱放散しやすい状態をつくっておくか、運動を習慣づけて抜本的に改善していくのが良質な眠りにとってはいいといえます。

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