「精神科医の禅僧」が教える、心を休める方法 知ると役に立つ「4つのR」
(2)レスト(Rest)
体を直接休ませる「Rest」も重要です。マッサージやストレッチで直接コリや緊張をほぐす方法、鍼灸などで気血(きけつ)の流れを調整して疲れを取る方法、ヨガで体の内面から整える方法など、さまざまな取り組みが可能です。いずれも人類の歴史において大変古くから存在する健康法であり、時代を超えて受け継がれてきた理由は、体験していただいて初めて納得できるものがあります。
もっとシンプルに、「寝る」ということも休息の最大のテーマの1つです。近年では「睡眠医学」の進歩により、いかにして睡眠による心身の回復効果を引き出すかについて様々な新事実が判明しています。
たとえば、成人男性の疲れや日中の眠気の原因として「睡眠時無呼吸症候群」が圧倒的に多いことがわかってきました。「あごが小さい」「体重が増えた」「いびきを指摘される」といった項目に該当する方は可能性が高いと言えるでしょう。
女性では鉄分の欠乏により「レストレスレッグス症候群」すなわち「ムズムズ脚症候群」が隠れていて、足の動きと違和感によって寝つけなかったり、疲れが取れなかったりする方が少なくありません。
朝の日の光を十分に浴びないこと、夜にブルーライトを発するスマホやタブレットを多用することなどから、生活リズムが夜型にずれていく「睡眠相後退症候群」も午前中の体調の悪さの原因として見逃せません。
私が副院長を務める睡眠医療のクリニックでは、さまざまな検査・治療を用いてこのような睡眠に関する問題を原因から解明することに取り組んでいます。睡眠について少しでもお悩みをお持ちの方は、こうした睡眠専門機関を訪れてみるのもいいかもしれません。
「壊れた心が再び形を取り戻す」ための取り組み
(3)レクリエーション(Recreation)
レクリエーションという言葉は、「re:再び」と「create:創造する」から成り立っていることからもわかるように、「壊れた(疲れ果てた)心が再び形を取り戻す」ための取り組みを指します。一般的には「遊び」がレクリエーションの定義と認識されることが多いのですが、たとえば「テレビゲーム」が誰にとっても心の再構築につながるとは限らないことから、この定義は正確とは言えません。
ハンガリー出身でアメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイ博士は、人間が主体性を持って目標に向かい、精神的集中を極めて高くした状態を「フロー状態」として提唱し、幸福感の泉源であると説きました。
ただ休むだけではなく、集中して何かに取り組むことが心の回復のための栄養となります。この「フロー」を得るための大切な要件が「本人の能力に対して適度に難しいレベルである」というもの。集中して懸命に取り組むことができ、一瞬一瞬、手応えを感じられることが心の充実につながるということに他なりません。
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