50代ビジネスマンが「バブル」を再考する理由 あの時代の目撃者が重い口を開き始めている

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バブル時代、まさにカネを生み出す立場にいた者、その目撃者たちが今、重い口を開き始めた。1980年代後半から30年が経過した。部課長として、現場の最前線に立っていた人たちが、歴史の証人としてバブルを振り返る時期に来ている。

インサイダーが語るバブル論にビジネスマンたちが強く惹きつけられており、出版界では「次のバブル秘話」を求めて、書き手発掘が盛んになっているという。バブルピークの1980年代後半に社会人になった人たちは今、50歳代。おそらく、バブル本の人気を支えている人たちもこの世代が中心だ。その子どもたちの世代はちょうど社会人になるような年頃だ。

週刊東洋経済4月3日発売号(4月8日号)の特集『親子で学ぶ経済入門』では、筑波大学助教で、メディアアーティストとして、若者から圧倒的な人気を集める落合陽一氏が「AIと人間の共存」について語っている。

落合陽一氏の父は国際ジャーナリストの落合信彦氏だ。1987年から発売のアサヒスーパードライの初代CMキャラクターとしても知られる。「辛口」「切れ味の良さ」といったスーパードライのイメージを浸透させた人物である。

「若者に権力を」アップル創業者の言葉

陽一氏によると、2人の間ではAIやITについて、こんな会話が交わされたことがある。

信彦 「AIの時代になったら、人間はどうしたらいいんだ」

陽一 「そんなの、(ITスキルの高い)若者に権力をあげればいいじゃん」

信彦「おお!それは1983年の取材でスティーブ・ウォズニアック(アップルの創業者)が同じことを言ってたぞ」。

当時の週刊誌にまさにその記事が掲載されていたという。

「コンピュータ業界でいちばん重要なのは、とにかくソフトウェアなんだ。ハードは日本に負けている。でも、大事なのはソフトであり、それを作るためには、若者に自由を与えないといけない」とウォズニアックは発言している。

聞き手の信彦氏は記事の中で、「そうしないと日本はもう生き残れないかもしれない」と言う言葉を記している。「『そうか……、確かに日本は生き残れなかったね』と親父と話したんです。うちの親父は質問すると、たいていのことには答えてくれます」と陽一氏は語る。それでは、2人の会話をもう一つ。

陽一「トランプって、どんな人?」

信彦「いやー、あいつマジでカネにしか興味がない。たぶん、安倍さん(首相)が来たときも、裏で『これはいいビジネスだ』とか言っていると思うよ」。

英国のEU(欧州連合)離脱や米国トランプ政権の誕生など、世界中でポピュリズム(大衆迎合主義)と指摘される動きが蔓延している。異次元金融緩和や株高で引っ張ってきたアベノミクスも転換点を迎えたように見える。

そんな先行きの見えにくい時代に、バブルの教訓を今の子どもを含めた若い世代に伝えるのはかつてのバブルを経験した者たちの責務といえるかもしれない。

堀川 美行 東洋経済 記者

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ほりかわ よしゆき / Yoshiyuki Horikawa

『週刊東洋経済』副編集長

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