吹き上げるような右や左からの向かい風、ゴルフボールがいろんな風の中をかいくぐり目的地に到着、パーに対して1打少なくホールアウトすると「まるでボールを鳥のようにうまく扱うもんだ」と称賛され、バーディーという言葉ができ上がったと聞いていますが。昔はバーディーなんてめったに出るもんじゃなかったらしい。
メジャー開催のコースを見ていると確かにそのとおり、真っすぐなボールを打てるだけじゃ仕事になりゃしません。
6月の全米オープンが行われるようなコースは、深いラフと速いグリーンは言うまでもありませんが、テレビで見るよりもずっとコースにはアップダウンがあって、フェアウェーも平らな所がえらく少なく。そのうえティーグラウンドに立って見ると大きな木がコースに枝を伸ばし、フェアウェーの平らな所にボールを置くには、フェードとかドロー、そのホールによって球筋を要求してるんですな。
そんなタフなコースづくりをしている全米オープンは、4日間、72ホールでイーブンパーを優勝スコアにしたいらしいが、ゴルフ協会のほうは、「うんそうだ」とは言わないらしい。一方、7月の全英オープンは多くがリンクスでコースは自然任せ、その週の天気によって優勝スコアは予想できません。コースは原っぱでショットを邪魔する木はありませんが、風のない日はめったにありませんからね。風に負けない多彩な球筋を打てないといい成績は出せませんわ。
全英の今年の開催コース、ミュアフィールド・ゴルフコースは1891年にトム・モリスが作ったと聞いているけど、百何年経っても競技用のコースとして存在するって、先を見る目がある昔の名人たちを尊敬しますね。リンクスのバンカーの深さをご説明するまでもないけど、ミュアフィールドの18番にはフェアウェー左サイドにバンカーが二つ並んでましてね。ティーショットを最初のバンカーに落とし、そこからグリーン近くに出そうと欲をかくと、次のバンカーに入ってしまう仕掛け。ゴルファーの心理は今も昔も変わらないってことですね。
6月の全米オープンの事ですが、大会3日目の後半、松山英樹がティーショットを曲げ、3連続ボギーを打ちましてね。普通、ティーショットを曲げたんだから、試合後はショットの練習をしますが、逆にラフからのショットを徹底的にしたというんだから、これが松山の非凡なところだね。
十分な練習でラフからのショットに自信を持ったら、ティーショットに不安がなくなり曲がらなくなるんですよ。その結果が最終日67の大会ベストタイ、10位タイで試合を終え、その翌週には日本ツアー選手権で7位タイ。旅の疲れがあるなんて泣き言も言わずよく頑張ってる。メジャー大会はゴルファーの心と技を磨く場所です。
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