「森友解散」説ににじむ「1強」安倍政権の焦り 「軽率」と「誤算」の連鎖の果てに泥沼化
実際は何も起こらないまま新年度を迎えるが、国会会期中の解散説はなおくすぶる。7月2日の東京都議選との「ダブル選」狙いで、「5月23日解散―7月2日衆院選」という日程だ。「解散から40日以内」という規定を踏まえたもので、背景には5月27日が期限の衆院定数10削減のための「区割り案」勧告がある。「勧告後は政治的に解散が困難になる」(自民幹部)ため、勧告がぎりぎりまで遅れるという前提付きでの「5.23解散」説だ。
安倍政権にとって「7.2ダブル選」は、都議選での自民惨敗を回避し、小池百合子都知事が立ち上げた「小池新党」の躍進を阻もうとの狙いがある。しかし、8割前後の超高支持率を誇る小池知事の勢いが続けば、都議選での自民劣勢は避けようがない。しかも「小池潰し」や「森友隠し」と受け取られるような解散―衆院選となれば「自民党は30議席以上減るのが確実」(自民選対)とされる。そうなれば「衆院での改憲勢力3分の2」を失い、首相が悲願とする任期中の憲法改正にも赤信号が灯る。このため、首相周辺からは「年内解散もない。首相は何とか森友疑惑をしのぎ切って今国会を終え、夏以降は外交と経済に全力を傾注して態勢を立て直し、来年の自民党総裁選前後の解散を考えている」との声が出ている。
「逆襲」より「逃げ恥」で
永田町では森友学園疑惑の背景に「1強政権の驕りと権力構造の歪みがある」(民進党幹部)との見方がある。確かに官僚たちが史上最長政権も視野に入れる首相やその周辺の意向を「必要以上に忖度する」(公明党)可能性は否定できない。証人喚問で籠池氏から「自分を裏切った政治家」として名指しされた維新の会代表の松井一郎大阪府知事は「安倍首相は(財務省などの)忖度があったという事実を認めるべきだ」と指摘した。しかし、首相は「忖度などあり得ない」と繰り返し答弁しており、その中で「財務省などが忖度を認める可能性はゼロ」(元財務省幹部)との見方が支配的だ。
自民党幹部や菅義偉官房長官は「籠池氏の偽証告発」に動きだす構えだ。「攻撃は最大の防御」(自民幹部)というわけだが、首相周辺では「かえって事態を複雑化させ、昭恵夫人の喚問にもつながりかねない」との懸念も出ているという。昨秋、テレビドラマ化された人気漫画のタイトルで流行語ともなった「逃げ恥(逃げるは恥だが役に立つ)」という言葉のとおり、「ここは野党やマスコミの追及にじっと耐え、政局よりも地道な政権運営に徹するべきだ」(自民長老)との声も広がる。
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