「格之進」のハンバーガーは何が違うのか

パテにはあえて「豚肉」を使用

女性を意識した店内のインテリア(写真:門崎提供)

Nilutellは2016年3月に竣工した地下鉄駅直結の複合ビル、六本木グランドタワー内に位置する。ビルとしても新しく、まだ客の入りはほどほどで、ランチの時間帯に行列ができるぐらいだそうだ。

「店舗のコンセプトを決めるにあたって、いつもストーリーを考えています。今回は、“マンハッタンなどで仕事をしている忙しい彼女を料理で癒すために、フランス人の彼氏がオープンした店”です。カジュアルだけどおしゃれ、明るくて楽しい感じを出しました」(千葉氏)

その狙いはうまくあたったようで、格之進の他店舗に比べ、女性客が多いという。なるほど、インテリアはフェミニン調で、なおかつ白がベースなので明るく清潔感がある。カウンター席もゆったりしていて、女性1人でも入りやすそうだ。メニューには魚料理も用意されており、こちらもランチには品切れになるぐらい好評のようだ。魚料理は女性のため、という意識もあったようだが、「女性も意外にガッツリ肉を食べるので、これは予想外でした」(千葉氏)

人気メニューは「骨付きバラ肉」

門崎熟成肉骨付バラ肉塊焼き(写真:門崎提供)

人気メニューは、ランチはハンバーガー(セットで1250円)、夜は門崎熟成肉骨付バラ肉塊焼き(ハーフ3000円、フル6000円・税抜き)。

この骨付き肉も、千葉氏の思いが詰まったメニューだ。

「昔は焼肉店でも、カルビからどんどん売れていったものです。今は赤身ブームで、反対にバラ肉に対する評価が厳しくなっている。ですから、新たな価値を持たせてあげたいと考えています」(千葉氏)

本場ニューヨークのステーキレストランでも、Tボーン、Lボーン、ポーターハウスなど、骨付きのステーキを看板メニューにしている。またよく考えてみれば、赤身がはやっているからといって脂肪分を嫌うのは、犠牲となる牛に対しても申し訳ないことである。

消費者はとかく流行に踊らされがちだが、自給率低下や食の安全性といった課題がますます深刻化する今、自分の食がどうあるべきか、おのおのがしっかりと考えなければならない時代になっている。たとえば、自分が食べているものがどのように作られているのか興味を持ち、知ることが第1歩となる。同社はそのための取り組みとして、岩手県一関市との協力により、消費者が生産現場を見学できるツアーを行っている。このツアーには年間300人以上が参加するとのことだ。

門崎の代表取締役・千葉裕士氏(筆者撮影)

「生産者が心を込めて作る食材には、一つひとつ物語があります。食材を口にする消費者の方々に、現地で実際に見て、知ってもらい、ファンになってもらえればと思っています。日本の食と農の未来を、消費者と生産者が一緒に作っていきたい、というのが私の願いであり、目標です」(千葉氏)

食に向かう姿勢として、単に「食べた、おいしかった」で終わらせることは、特段、責められるべきものではない。むしろそちらのほうが普通であろう。しかしせっかく、あらゆることをネットで検索でき、SNSなどで個々が情報発信できる時代である。食を取り巻く危機や、千葉氏らのまじめな取り組みについても、知る、知らせる、といった行動を取っていくことも、消費者として大切かもしれない。

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