日経平均は1カ月ぶり1万4000円割れ 円高やアジア株下落など嫌気し先物売り膨らむ

拡大
縮小

33業種すべてで下落

業種別では33業種すべてが下落した。値下がり率が最も大きかったのはその他金融で、以下、証券・商品先物、ゴム製品の順。トヨタ自動車、富士重工業、マツダなどの自動車株、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループなどのメガバンク、新日鐵住金、神戸製鋼所、JFEホールディングスといった大手鉄鋼株も下げた。コマツ、日立建機などの建設機械株やソニー、キヤノンなど輸出の主力株も冴えず、ファーストリテイリング、ソフトバンク、東京電力なども軟調。今14年6月期の営業利益が前期比21%減との見通しを公表したアイスタイルは、値幅制限下限のストップ安水準まで売り込まれた。

こうした中で、主力銘柄のうち、ファナックが逆行高。アクリーティブが値幅制限上限のストップ高まで買われ、日立金属なども上げた。東証1部全体の値下がり銘柄数は1676(全体の96%)で値上がりが57銘柄(同3%)。前週末と変わらずは15銘柄だった。

株価指標から見る限り、相場の過熱感は薄らぎつつある。日経平均の5日移動平均線に対する日々線の乖離は7月29日時点でマイナス5%。物色の広がりを示す騰落レシオ(25日移動平均)は「買われすぎ」の状態を示すとされる120%の水準を前週24日まで9日連続で上回っていたが、29日には約106%まで低下した。「下落局面では日銀による株式のETF買いも見込まれる」(大手証券)という。

だが、新興国景気の先行きに対する不透明感が強まっているうえ、為替も円高方向へ振れているとあっては積極的な買いも手掛けにくい。しかも、現在は4~6月期の決算発表がちょうどピークを迎えている。加えて、今週は週末の8月2日に7月の米雇用統計の発表を控えるなど、重要なスケジュールが目白押し。手控えムードの強まる中、目先筋の先物中心の売り買いに乱高下する展開がしばらく続きそうだ。

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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