ヨーカ堂、店舗閉鎖ありきに役員が「待った」 リストラの流れが止まる可能性もある
さらに伊藤氏が取締役となったことも今後の店舗閉鎖に影響しそうだ。「グループ全体の大局からヨーカ堂の課題を指摘してもらう」(三枝社長)のが表向きの就任理由である。ただ、言うまでもなくヨーカ堂はグループの祖業。そのリストラに、伊藤氏が一定の牽制機能を果たすことも十分に考えられる。
不採算店の閉鎖が進まなければ、より重要になるのが既存店の立て直しだ。そのカギを握る部署が、2016年10月に誕生したオペレーションサポート部(OS)だ。
OSの役割は店舗と本部の連携強化を図ること。100人を超える部員が、週に4日は店に入り現場の課題を洗い出し、1日は本社で各店の課題や取り組みを共有する。
高橋信OS部長は「これまでは店と現場の意思疎通がうまくいっていない面があった。両者をつなぐ“通訳”が必要だった」と話す。背景にあるのが3年前に始めた「独立運営店舗」という施策だ。
独自仕入れでコストが4割高のケースも
ヨーカ堂は画一的な店舗運営が低迷の原因ととらえ、各店に権限を与え、地域の嗜好に合わせた品ぞろえを進めてきた。確かに店ごとの独自色を出す点では効果があったが、非効率な部分も散見された。
たとえば、関東圏のある店舗では弁当や総菜の品ぞろえを強化したあまり、食材や工程が増えすぎて現場に負荷がかかっていた。ほかにも、全国で売れる住居関連の商品を地方店が独自に仕入れ、コストが4割も高くなったケースがあったという。
OSの発足に合わせて、2016年秋から地域ごとに分けられていた仕入れ機能を再び本部に集約した。「OSを媒介として、商品をしっかり現場にマッチングさせていく」(高橋部長)。
もちろん、店舗を閉鎖せずヨーカ堂を再生できれば、それが理想的だ。ただ、これまで何度もそうしようとしてできなかった現実がある。仮にリストラが遅れれば、ヨーカ堂にとって致命傷となるおそれも否定できない。
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