伊豆急「1両だけで走る旧型電車」復活の狙い

観光客の人気呼ぶ開業時からの「クモハ103」

海沿いを走る伊豆急行のクモハ103(写真提供:伊豆急行)

静岡県の伊豆半島を走る私鉄、伊豆急行が、同社の開業時から運転した旧形車100系クモハ103を復活させ、再度の営業運転に就役させたのは2011年11月のことだった。

長く同社のシンボル的存在として親しまれ、今日では数少なくなった1両の両側に運転台のある「両運転台」の電車復活は鉄道ファンを喜ばせた。

だが、1両での運転を主とする電車の復活は、採算性の問題など、営業面では不利な条件も少なくないように思われる。それでも敢えて、オールドタイマーの復活が進められたのはなぜか。その狙いを伺った。

画期的だった「爽やかな塗装」

伊豆半島の東海岸を走る伊豆急行が開業したのは、1961年12月10日のことであった。幾つもの温泉地のある伊豆半島は首都圏からも近く、東海地方屈指の観光地に発展する可能性を秘めていたが、山が海岸線近くまで続く地形から交通の便は悪く、発展は遅れていた。それだけに、伊豆半島東部を南北に貫く伊豆急行の開業は、地元の人々を大いに喜ばせたのである。

この鉄道が開業時から運転したのが、100系と呼ばれる電車だった。冷房装置こそ搭載されていなかったものの、設計には新技術を積極的に採り入れ、居住性は当時の国鉄急行形電車に匹敵し、私鉄では珍しい1等車(後のグリーン車)や、食堂車までがラインナップされていた。

大窓を配したスマートな車体や、オーシャングリーン、ハワイアンブルーと称される明るい青を主体とした車体塗色は、観光路線にふさわしい爽やかなイメージのもので、汚れが目立つことのない暗い色に塗られるのが一般的だったそれまでの電車の通例を打ち破り、利用客を大いに驚かせたのである。

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