赤字も穴埋めした「ほくほく線」の"投資手腕"

沿線人口減、内部留保取り崩し…課題も山積

お酒の銘柄で有名な八海山の近くを走る北越急行ほくほく線の普通列車。1年前まで同じ線路を走っていた特急『はくたか』は姿を消した

山肌に雪は残っていたものの、真っ青な空が南越後の山々を覆った3月12・13日の2日間、ほくほく線のまつだい駅(新潟県十日町市松代)で「特急はくたかフェス in まつだい」と題したイベントが開かれた。

ほくほく線を運営する北越急行は、まつだい発着の特別臨時列車『超回想 薬師・儀明号』を運転。全国的にも珍しい「トンネル内信号場」の薬師峠信号場と儀明信号場を巡るイベント列車で、参加者の多くは暗闇に包まれた信号場の様子を車窓から熱心に眺めていた。

一方、まつだい駅のイベント会場では、鉄道模型の運転会やトークショーなどが行われた。会場前の通路や階段は、開催1時間前に行列ができるほどの盛況。鉄道部品のオークションでは、ほくほく線で使われていた「160」の速度標識が5万8000円で落札されるなど、会場は熱気に包まれた。

「時速160キロ」も今は昔

オークション大会で出品された「160」の速度標識。ほくほく線は『はくたか』廃止で160km/hという「準高速運転」への対応を中止した

しかし、「160」の速度標識がオークションで出品されたことは、ほくほく線の厳しい現実を象徴している。1年前、ほくほく線内で160km/hという高速運転を行っていた特急『はくたか』が廃止され、「160」の速度標識が不要になったためだ。イベント名に「はくたか」、特別臨時列車の列車名に「回想」の文字が含まれていたのも、『はくたか』廃止に対する北越急行の複雑な思いを感じさせる。

ほくほく線は、新潟県南魚沼市の六日町駅から同県南部の山岳地帯を北西に進み、上越市の犀潟(さいがた)駅までを結ぶ全長59.5kmの鉄道路線。六日町駅でJRの上越線、犀潟駅で信越本線に接続し、列車は上越新幹線の連絡駅である越後湯沢駅と、上越市の中心市街地の一つである直江津駅に乗り入れている。

国鉄新線として1968年8月に着工したが、1980年には国鉄の経営悪化を受け、凍結が決定。その後、地元出資の第三セクター・北越急行が完成後の経営を引き受ける条件で、1985年3月に工事が再開された。

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