誰も降りない「秘境駅」を存続させる町の狙い 維持費を負担してでも残したいワケは

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「日本一の秘境駅」小幌駅に停車する列車(写真:正義と真実 / PIXTA)

経営危機に揺れるJR北海道。同社は全路線の約半分が“単独での維持が困難”であるとして、沿線自治体などとの協議を開始している。鉄道路線そのものだけでなく、利用者が極めて少ない駅も俎上に載っており、既に複数の駅が廃止の憂き目にあった。

2016年春のダイヤ改正では8駅が廃止され、そして今年3月4日に予定されているダイヤ改正では10駅が姿を消す予定だ。同社は既に廃止予定の駅以外にも利用が極めて少ない駅を公表しており、今後それらの駅についても廃止の動きが強まることが予想される。

そのほとんどは、もともと乗客が少ない路線にあり、周囲には民家もなにもないような“秘境駅”。日常的に利用している人はほとんど見かけられず、せいぜい鉄道ファンがたまに降り立つくらい。それでも冬期には除雪作業が必要だし、もちろんホームなどの施設の維持・管理にもコストや手間がかかる。経営状態が悪化する中でのJR北海道の“駅廃止”の決断は責められるものではないだろう。

「日本一の秘境駅」を地域振興に

ただ、こうして廃止対象となった駅を抱える自治体が、維持・管理費を負担して駅を存続させるという動きが出ている。“日本一の秘境駅”として知られる室蘭本線・小幌(こぼろ)駅のある豊浦町、そして町内にある宗谷本線の糠南(ぬかなん)駅・南幌延駅・下沼駅が今年3月のダイヤ改正で廃止対象となっていた幌延町である。

豊浦町の小川英紀副町長は言う。「"日本一の秘境駅"ということで小幌駅はすごいぞ、という話題は以前からありました。地域振興の観点でここはぜひ残さないといけないと。そうした話し合いが始まったところで、2015年の夏にJR北海道から駅廃止の話があった。そこで、維持管理費の負担や冬期の除雪などの日常的な管理をこちらで行うという条件で、存続することになったんです」

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