16年ぶり赤字、千代田化工に何が起きたのか

社運かけたプロジェクトがわずか1年で頓挫

千代田化工は出資に至るまで「慎重なステップを踏んだ」(中垣啓一副社長)はずだった。2013年にはオフショアの調査・基本設計などを手掛ける英エクソダス社を買収。サブシー市場の知見を広げながら組むべき相手を探した。

エズラ傘下のサブシー会社は、コストの安さが特徴で小型工事に強い。深海の大型工事が主体の3強とはすみ分けができていた。そして大型工事については、千代田化工が陸上工事で培った得意先を紹介することもできる。実際、2016年7月にはサウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコ社からガス田開発の大型契約を受注。まさに千代田化工の営業力あってこその受注獲得だった。

1年も経たずにチャプター11申請

ところが、その後すぐにECSは“座礁”する。昨年11月半ばに事業計画を見直すと、2016、2017年度はもちろん、2018年度も赤字が続くことがわかった。「想定を超える」(中垣副社長)事態だった。資金繰りも逼迫しており、千代田化工は巨額損失の計上が避けられなかった。

事態はそれにとどまらない。なんと2月27日、ECSが米国の民事再生法にあたる米連邦破産法11条(CHー11)を申請したのだ。重い債務の整理を進め、「いったん小さく筋肉質にして事業再生を図る」(中垣副社長)ためという。

発足後1年たらずでCー11の申請などまさに異例だが、なぜこんなことが起きたのか?

まず原油価格の動向がある。千代田化工が上流分野への進出計画を打ち出した当時は、原油価格はゆうに100ドルを超えており、バブルとも言える状況だった。その後原油価格は急落したが、それでもエズラ社とECS設立の基本合意に至った2015年の半ばは、60ドル前後だった。これならまだ海洋油ガス開発は大丈夫というのが、千代田化工の判断だったのだろう。

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