「東京タラレバ娘」アラサー女がハマッた理由 中年やオバサンになるまでの間が長すぎる

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彼女たちを「タラレバ女」と名付けた金髪の男が物語のまさしくKEYなのだけれど、彼は、タラレバさんたちを見ているとイラっとする、といい放つ。わかる、私もイラっとした。自分のことは棚に上げてね。

“タラレバ話”で盛り上がる倫子たちに対し、キツい、えぐい言葉を突きつけるモデルのKEY(坂口健太郎)。世間のアラサー女子はKEYの言葉に阿鼻叫喚している。『東京タラレバ娘』©日本テレビ

何しろ、彼女たちは30過ぎてもなお、夢見る夢子ちゃんなのだ。いつか理想のピタッとくる男が突然目の前に現れて、いきなりドラマチックな恋愛が始まって、そして結婚!みたいなことが、そのうち自分に起きるんじゃないかと心のどこかで信じている。他人=男に幸せにしてもらいたいという願望からくる言葉をしょっちゅう口にする。

では、彼女たちはなぜ、ゆるふわの勝ち組になれないのかというと、それを信じきれていないからだと私は思う。やっぱり心のどこかで幸せには自分でなるもんだという、無意識に近い本能のようなものが存在しているからなんじゃないだろうか。だから、ゆるふわさんたちが見過ごせることも見過ごせないし、がまんできない。よって、タラレバ女たちは玉砕する。

プロデューサーの早坂(鈴木亮平)と付き合うことになった倫子(吉高由里子)だったが、KEYに心を惹かれていく。『東京タラレバ娘』©日本テレビ

まるで、女性が「ゆるふわさん」と「タラレバ女」の2種類に分類できるように書いているけれど、たいていの女の人はこの二つの成分を抱えて生きているはずだ。比率は人それぞれ、時と場合と年齢によってもそれは変わっていくものだろう。

この原稿の中で何度も「30過ぎ」というフレーズを書いたけれど、それは「若者」ではないかもしれないけれど、正真正銘の「おばさん」でもない。最近は、若い女の子を卒業してから、中年とかおばさんになるまでの間が長すぎる。だから、曖昧にしておきたい現実が増えるばかりなのだ。たまには、タラレバいいたくなるよね。

甘糟りり子
作家。アパレルメーカーを経て文筆業に。バブル時代の空気を切り取るリアルなタッチは自他ともに認めるところで、ファッ ションや食、クルマ、スポーツには一家言ある。2月27日に『産まなくても、産めなくても』(講談社)を刊行した。

 

(文: Ririko Amakasu)

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