「東京タラレバ娘」アラサー女がハマッた理由 中年やオバサンになるまでの間が長すぎる
倫子(吉高由里子)は、30歳・独身・彼氏ナシの売れない脚本家。親友の香(榮倉奈々)、小雪(大島優子)と、女子会と称して居酒屋「呑んべえ」で酒を飲むのが一番の楽しみ。『東京タラレバ娘』©日本テレビ
ここにもいましたよ、タラレバさんたちが。見ていない方のためにかいつまんで説明すると、主人公はなかなか思うような仕事につけない脚本家の倫子。飲み仲間は、親に軍資金を出してもらい表参道でネイルサロンを経営する香と実家の居酒屋を手伝う小雪。高校の同級生である彼女たちは、しょっちゅう集まっては酒を飲んでいる。とにかく飲む。やたらと飲む。飲んでは、恋愛、もしくは男がらみの愚痴をいい合う。愚痴をいい合うということは、つまり恋愛面は充実していない。
では、仕事は充実しているかといえば、こちらもあまりしてはいない。「自立した大人の女」感はほとんどない。まあ、忙しかったら、こんなにしょっちゅう集まれないだろうしね。3人とも世の中を必死でもがいている、という印象だ。30過ぎても。
小雪の実家「呑んべえ」が、女子会と称した彼女たちの飲み会の場所。いつものように男がらみの話題で盛り上がっていると、隣り合わせた青年にいわれる。彼は髪を金髪に染めている。
「さっきから聞いてりゃあ、女子でもないのに女子会だの、現れてもいないのにいい男と結婚だの、(略)そうやって一生女同士でタラレバつまみに酒飲んでろよ!このタラレバ女!!」
キッツ〜。キツ過ぎて、つい笑ってしまう。
回転寿司にて
この漫画及びドラマの魅力は、何といっても台詞のキツさである。若くなくなった女たちがぼんやりとやり過ごしている現実をえぐり取るようなフレーズの連続だ。
例えば、3人でランチに回転寿司に行く場面。
「おすすめのいい男が皿に乗ってまわってくればいいのに」
「後から回ってきたウニに気を取られて、アジをスルーして、でも、よく考えたら、あたしそこまでウニ好きじゃなかったなって、あとから気づく」
「回転寿司なら取り逃がした皿もまた回ってくるけれど、現実の男はそうはいかない」
「私達の乗ったレーンは一方向に進み続ける」
そうそう、女のレーンは自分たちが思うより早く進んでしまうものだ。