トランプ政権のメディア対応は特殊じゃない 過去の大統領もメディアと確執あった

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John Micklethwait/英オックスフォード大卒、米チェースマンハッタン銀行(現・JPモルガン・チェース)に入行。1987年に英エコノミスト入社。金融記者、米国編集長などを経て2006年に編集長就任。2015年2月からブルームバーグ編集長としてニュース、雑誌、テレビ、デジタル、インテリジェンス部門などを統括。著書に「The Fourth Revolution: The Global Race to Reinvent the State」など(撮影:梅谷秀司)

――トランプ大統領に好意的な報道で知られる「ブライトバートニュース」などを支持する人が増えているのは、伝統的なメディアに対する信頼が揺らいでいるためではないのでしょうか。

問題なのは「主要」なメディアが多くの人々の意見を代弁していないと受け止められていることだ。ある保守系ジャーナリストが(FOXニュース会長の)ルパート・マードック氏を「天才」と評していた。FOXニュースはもともと「ニッチ」なメディアだったが、米国民の約4割に受け入れられるようになったのだ。

今のメディアは「エコーチェンバー(Echo chamber)」。少数の人の意見が洞窟のような場所で反響し、増幅していく。国民は自分が聞きたいと思う情報にしか耳を傾けなくなった。保守的な層は「ブライトバートニュース」などを好み、リベラル派は(NBC系の)MSNBCなどを支持する。

重要なのは「事実を伝える」ことだ。「フェイクニュース」が氾濫しているなか、事実を伝えれば保守、リベラル双方からの信頼を得ることができる。

ニュースを受け止める側が変わった

――人々が自分の聞きたい情報にしか耳を傾けないのは、伝統的なメディアが事実を伝える努力を怠っているからでしょうか。

メディア側よりもむしろ、情報を受け取る側の視野が狭まってきたのが原因だ。選択肢が増えたなかで、見たいもの、聞きたいものを選ぶようになった。

英米両国で「主流」のメディアといえば、これまでは中道もしくは左派寄りだったが、人々が違う意見を求めるようになった。オバマ前大統領に対して不満がある人は、「同前大統領が実は米国生まれではない」といったニュースを好むようになったのだ。「主流」のメディアの姿勢が変わったわけではない。

――トランプ大統領はツイッターを情報伝達の手段として重視しています。

ツイッターはあくまでもプラットフォーム。オバマ前大統領もフェイスブックを駆使することで大統領選に勝利した。ブッシュ元大統領のメディア戦略の担当官はテレビのネットワーク局よりもローカル局を頻繁に利用していた。歴史は繰り返すのだ。

――米国株の値動きに対する見方を聞かせてください。株価は依然、底堅く推移しています。現政権の保護主義への傾斜など懸念材料が山積しているにもかかわらず、「リスクオン」の状態を維持していることに首をかしげる市場関係者が少なくありません。

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