輸入食材店が目を光らせる異色展示会の正体 「FOODEX JAPAN」で食のトレンドを読む
開けたてのフレッシュなワインが味わえる樽ワイン「ミオバール」は、イタリア食材を扱うモンテ物産の出展。樽状の容器から専用サーバーで注ぐスタイルで、パーティ用や飲み放題サービスに最適とのこと。店舗やイベントなどのプロ向けで、残念ながら一般家庭には販売しない。「一度栓を開けるとやはり酸化してしまいます。16リットルですので、毎日そうとう飲まなければなくなりません」とのことだ。ボジョレーヌーボーに似た、軽くてフレッシュな味わいだ。
調味料と岩塩がブレンドされており、日本でもファンが多いクレイジーソルトは、茶類を扱う日本緑茶センターの出展。意外なことに、本家の米国ではまったく有名ではなく、日本でのみ大ブレークしているのだという。にんにく味やレモンペッパーなど、さまざまな種類がラインナップされ、スナックやドレッシングなどの姉妹品も展示されていた。日本緑茶センターから本社へとレシピ提案を行うことも多い、との裏話も聞くことができた。
農産物の中でも異色だったのが、「白きくらげ」である。国内で出回っているきくらげはほとんどが中国産。普通の黒いきくらげよりも栽培方法が難しい白きくらげは非常に稀少だそうだ。黒きくらげよりも、コラーゲンや必須アミノ酸、亜鉛等など美容によい成分が豊富に含まれているという。なぜか、オマール海老やあわびなど、高級レストラン向け食材を扱う卸売会社の展示ブースに出展されていた。卸売会社の担当者に聞くと「キロ当たり4000~5000円で、かなりお高い材料。うちで扱うべきジャンルではないので、出展するか迷ったが、品質は確かによいものなので、今回の展示会で反応がよければ今後扱いたい」とのことだった。世の中に受け入れられるか否か、行く末が気になるところだ。
「女性目線」への意識がかなり高い印象
ただ一部を見回しただけでも、展示会における「女性目線」への意識がかなり高いように見受けられた。女性が買いたい、食べたい食品を選ぶという「美食女子グランプリ」も今回で5回目となり、カテゴリ分けされるなど、より本格化しているようだ。美容やダイエットというキーワードに対して、男性、女性にかかわらず、来場者の関心は高いのではないだろうか。
以上、駆け足かつ気が向くままのイベント紹介となったが、展示のジャンルも幅広く、ユニークなものも多々見受けられ、アジア最大の食の展示会と評されるだけある、というのが正直な感想だ。輸入食品小売りチェーン「カルディ」を運営するキャメル珈琲が「今年売れる商品」を探しに、役員および食品部門の社員100人ほどで偵察に訪れるというのもうなずける。イベントとしての価値を決めるポイントは、来場者にとっては、ニーズに合致する商品を見つけられるかどうか、出展者にとっては、実際に商談に結び付くかどうかだ。主催者から発表された数字によれば、出展者数も来場者数も毎年増えているようだから、それなりの価値を認められているということだろう。
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