株価がかなり「ヤバくなる」のはいつなのか 今は1929年の暴落時直前と同じくらい割高?

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「リベラルの裏切り」に対する失望が基調にある点では、英国の「ブレグジット」(EU離脱)も同様だ。大衆の味方であるはずの労働党のトニー・ブレア元首相は、親ビジネスで軍事的には強硬派の「羊の皮をかぶった保守」だった。英国民も、「ブレアにはだまされた」という気分なのではないか。英国のEU離脱は、妙に権力が肥大化したEU官僚を相手にすることの面倒とともに、国内にスコットランドの独立への動きを抱えていて、前途多難だ。

もっとも、欧州政治の不確実性にあっては、オランダは終了したが今後予定されているフランス、ドイツなどの国政選挙におけるポピュリスト政党の躍進が大きなリスクだ。ここでも、社会民主主義政党が大衆からの信用を失ったことが大きく影響しているように思う。

一方、右左両方に(米国なら共和・民主両方に)範囲を広げて政治の買収を成功しつつある「親・資本層」(純然たる株主だけでなく経営者層や株式で儲けるヘッジファンドなども含む)のもくろみがそこそこに成功したことが、今日の経済の好調をもたらしている面がある(それ自体はいいことだが、再分配政策をもっと真剣に考える必要があろう)。

安倍政権が何らかの弱みを官僚に握られたら?

いわゆる西側先進諸国の政治状況は心配であり、さらに、お隣の大韓民国では、政治と社会全体が半ば「メルトダウン」状態にあるのではないかと大いに心配なのだが、日本の政治にもじんわりと心配が漂ってきた。

安倍政権は何とかやり過ごしたいと思っているようだが、大阪の森友学園をめぐる問題は、世間的に話題性に火がついたし、まだまだ問題になる事実が出てきそうで、「早期鎮火」は難しそうな情勢だ。

今週に入って、稲田朋美防衛大臣の虚偽答弁が明らかになり、同氏は窮地に立っている。人物を考えるに、そもそも、厳しい質疑にさらされる防衛大臣はミスキャストだったと思うのだが、この問題は、彼女の所で止まらないかもしれない。

筆者は、「政治の問題」として、安倍首相と森友学園の関係については、手を緩めることなく徹底的に事実を明らかにすべきだと思っている。しかし、一方で、「純粋に経済の問題」としてこの問題の影響を考えると、安倍政権が弱体化するか、あるいは安倍首相が何らかの弱みを官僚に握られることになると、1つには2018年に任期を迎える黒田日銀総裁の後任者が金融緩和に消極的な人物になるリスクがあり、また、それ以上に次の消費税率引き上げ実施に追い込まれてしまう可能性を心配している。

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