最後に、一流の採用活動ができているかどうかは、なんといっても、その採用活動を通して「自社のファン」をどれだけ生み出せているかにかかっているといえるだろう。
【3】採用活動を通じて「ファン」をつくれるか
これは私が昔所属していた、某投資会社の話だ。その会社では、そもそも新卒採用をしていないのに、新卒のインターンを積極的に受け入れていた。
もちろん、誰でも彼でもインターンに採用するのではなく、すでに有力企業から内定が出ていて、将来、自社に転職してくれそうな、また採用したいような人材の卵を選んだのは確かである。
しかし彼ら彼女らが何年後に転職してくれるか、またそもそも転職するのかどうかもわからないのに、インターン期間中はさまざまなトレーニングプログラムを提供し、ひとりのプロフェッショナルとして至極丁寧に対応していた。
それどころか、年末のイヤー・エンド・パーティにも招待しつづけ、結果的に数年後、転職してきてくれる優秀な人材が何人もいたのには驚いたものである。
当時の私の上司いわく、「別に転職してきてくれなくてもいい。うちのファンをいろんなところにつくっていくのも、採用活動の重要な目的でしょ」、あるいは「うちは、儲けだけじゃなくて、うちと携わった人に成長してもらい、社会で活躍してほしい『人材輩出会社』だから」などとスケールの大きいことをおっしゃっていたのには、あまりの一流の採用活動っぷりに衝撃を受けたものである。
真の「二流の採用担当者」は私
これまで、二流の採用担当者を厳しく糾弾しつつ、一流の採用活動のあり方を誇らしげに書きつづってきた。しかし、ここで重大発表を行うならば、実は私こそ、「究極の二流の採用担当者」にほかならない。
送られてくるエントリーシートは、張り付けてある女子学生の写真にばかり目が行ってしまい、しまいには採用担当を外されてしまった恥ずかしすぎる、この私。
面接中は、「人のいいところを見てあげなきゃ」というモットーの中、会う人会う人、気に入ってしまい、実質、ザルのような大甘裁定しか下せない、ノーと言えないバカ者が私だ。
しかし、採用市場から、私のような二流の採用担当者がいなくならないかぎり、この世の中は、ひとつもよくならない。
学生さんは、面接官を通して、その企業を見ているものである。決して私のような恥ずべき二流の面接官ではなく、「学生さんを、その会社のファンにする」ような採用活動をする一流の会社が、1社でも増えることを強く願う次第である。
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