成功する人は「承認欲求」とどう付き合うのか 「認められたい」は普遍的な欲求だが…

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もしもあなたが、強い承認欲求によって苦しんでいるとしたら、考えるべきことは、それを捨てることではなく、承認欲求がよぎった瞬間に「手を放す」ための方法論です。

特に、仕事などで成果を上げ始めると、周囲の人があなたをほめたたえてくれる機会が増えていきます。この時にふと湧いてくる「もっとほめてほしい」という気持ち(これも承認欲求です)をどう手放すか、ということは、人生を大きく左右するほどのテーマだと思います。

「自分と対話する時間」をつくる

承認欲求を手放すために必要なことは、普段から自分の心と対話をする習慣を持っておくことです。

目を閉じて、自分の心と対話する時間を作ってください。「対話」といっても、自分の心との対話というのは、言葉を介したものとは限りません。むしろ、身体の感覚との「対話」こそが、本当の意味での「自分との対話」です。自分の身体を観察することによってふと「あぁ、このごろどうも人の評価ばかり気にしているなぁ」と気づく。

そういう自分との対話を習慣にしている人は、他者からの承認を確認するよりも、それを求めている自分を認め、正直に振る舞おうとするようになります。そして、自分との対話によって心の安定を得た人は、他者と居合わせた時に揺れ動く心も、正確にモニタリングできるようになるのです。

自己と対話をするというのは、小さな自分の殻の中で、ああでもない、こうでもないと思い煩うことではありません。他人から評価されたか、されなかったかではなく、自分自身の中で「満たされた感覚」を得ること。それが何より大切です。一瞬でも満たされた感覚を得ることができれば、それまであれほど心を焼いていた承認欲求から、スゥッと手を離すことができるのです。

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名越 康文 精神科医

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なこし やすふみ / Yasufumi Nakoshi

1960年、奈良県生まれ。精神科医。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、99年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。
著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSコミュニケーションズ、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。
夜間飛行よりメールマガジン「生きるための対話」刊行中。オフィシャルウェブサイトはこちら。twitterはこちら

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