北朝鮮の暴走止めるには「強硬手段」が必要だ 北朝鮮専門家、スナイダー氏に聞く

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北朝鮮は、米国が世界的な秩序や安定を保つことに力を注ぐ中、軍事力行使はありえないと当て込んでいる。こうした中、米国にとっての選択肢は、軍事力行使手前の時点で、圧力をかけることによって、核開発を遅らせることになるだろう。

――トランプ政権の政策に期待することは。

米国が先に何らかのアクションを起こすことは考えられない。北朝鮮半島での戦争に突っ込めば、トランプ大統領が描いている国内政策はめちゃくちゃになる。とはいえ、米国がこれまで試してきた政策が効いていないことも明らかだ。

先送りにするほど、代償は大きくなる

ひょっとしたら人命や財産を犠牲にすることなく、北朝鮮問題を解決するのは不可能なのかもしれない。先送りにすればするほど、その代償は大きくなる。つまり、軍事路線へ進めば進むほど、外交的選択肢や、軍事的衝突を未然に防ぐその他の選択肢を探ることが難しくなっていく。

オバマ政権は最後の1年で、北朝鮮政府への圧力を強める準備を進めてきた。トランプ政権はこれを一歩進めることになるだろう。こうした中、実行可能な戦略を探す間は、時間稼ぎとなるような選択肢を探さないとならない。

だが、韓国の次期政権は北朝鮮との対話を進める考えを持っていることから、米国が先制攻撃の検討を行うことはハッキリ言って難しい。当面は、外交的になにかできる方策を考えるよりほかないだろう。しかし、米国がそういう「二番煎じ」の戦略でいつまで我慢できるかわからない。

ピーター・エニス 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Peter Ennis

1987年から東洋経済の特約記者として、おもに日米関係、安全保障に関する記事を執筆。現在、ニューズレター「Dispatch Japan」を発行している

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