昨年1年間の北朝鮮によるミサイル実験を通じてわかったのは、北朝鮮が自らミサイルを開発するという計画を持っていることだ。彼らは自分たちの目標を設定し、計画を前に進めるためにできるかぎりのことをしているわけだ。つまりこれは、他国との断絶が何ら影響を与えないことを意味する。
また、ミサイル開発は国内的要因に左右される。技術的要因は、おそらくその中でも最も重要なものだろう。北朝鮮がミサイル開発を推し進める理由は、金正恩体制を正当化するためだと考えられるが、この計画を前に進められるかどうかは、技術的能力次第だろう。もっとも、ミサイル開発が最重要政策に据えられているのは明らかだ。
トランプ政権はさらなる制裁を考えている
――中国が北朝鮮に圧力かける可能性は。
中国は今後、圧力をかけていくと思われるが、米国が「十分」と見なすレベルには至らないのではないか。中国はこれまでも、北朝鮮に対する圧力の「さじ加減」をコントロールしようとしてきた。これは特に、中国の政策を推し進めるため、そして、北朝鮮における安定を維持するためだった。米国にとって中国の協力は欠かせないが、北朝鮮を別の方向へ導くには不十分だろう。
いずれにしても、金正恩が別の方向に行くとは考えられない。つまり、米国が描く、制裁や圧力などによって彼を別の方向へ誘導しようという戦略は見当違いだということだ。となると、米国は別の方法を見いださなければならない。そうなると、中国との協力関係をはるかに超えた、制裁という選択肢が考えられるが、中国との関係を維持しながら、北朝鮮に何らかの影響を与えるほどの制裁を加えるというのは容易ではない。オバマ政権は、中国との協力関係を最大化することに力を注いだが、トランプ政権下では2次制裁に向けた機運が高まっていると感じる。
――トランプ政権が考えるべき政策の選択肢はどのようなものがあるのでしょうか。
トランプ政権にとって、北朝鮮問題は喫緊の課題だ。北朝鮮は米国に対して、受け入れがたい2つの政策的選択肢を提示している。
その選択肢の1つは、核武装した北朝鮮を渋々容認すること。もう1つは、軍事力の行使だ。これらの選択肢はどちらも実際に、あるいは一定程度、北朝鮮の利益にかなう。核武装容認は、核保有国として認められたいと考えている北朝鮮の望みを受け入れることを意味する。一方、米国が北朝鮮を非核化するために、一方的に軍事力を行使する決断は、この地域における米国との同盟関係を崩すことになり、当事国すべてに多大なる影響を与えることになる。
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