Jリーグ1000試合の日程、40分で決まるワケ 試合日程を決めるのは鉄鋼会社の技術だった
同じ製造業でも、自動車や電機メーカーなど、部品を組み立てる製造業ではここまでの最適化技術は必要ない。素材加工型製造業の代表格である製鉄会社ならではの技術といえる。
入場者数の予測モデルも登場
さらに今年2月、日程くんが作成した日程案の中から、より多くの観客を動員できる日程案を選び出すためのツールとして、年間入場者数を予測するモデルも登場した。
まだ試験段階ではあるが、この予測モデルを使って調査した結果、2016年シーズン開幕前に予測したJ1の総入場者数と、シーズン終了後に集計した実際の総入場者数の誤差は、わずか0.5%という精緻さだ。
この予測モデルは2014年に開発に着手、「スタジアム別の平均入場者数、キックオフ時刻、日付、節フラグの4項目を変数化し、重回帰分析で構築した」(新日鉄住金ソリューションズ)という。
休日か平日かの違いだけでなく、同じ曜日でも日によって入場者数は異なるし、入場者数が増えやすい節もある。キックオフの時間によっても入場者数は変わる。入場者数の増加につながる条件が何なのかを把握し、最適な日程案を選択できるようにするモデル、ということらしい。
Jリーグの年間入場者数は、リーマンショック前は900万人を超えていた。
だが、リーマンショックを機に大きく落ち込み、東日本大震災が発生した2011年シーズンは777万人まで減少。サポーターの高齢化も着実に進んでいる。
J3の発足などクラブ数の増加もあって、Jリーグ全体の入場者数は、2015年シーズンに1000万人の大台に乗せたものの、J1の入場者数に限ればかつての水準には戻っていない。入場者数の引き上げとファン層の裾野拡大は喫緊の課題だ。
日程くんも、入場者数の予測モデルも、それ自体がファン層の拡大をもたらすわけではないだろうが、入場者数の増加につながる条件を模索する中で、結果的に課題解決の道筋も見えてくるのかもしれない。
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