「27歳男性」が高齢者向け不動産を扱う事情 「年寄りだから借りられない」のはおかしい
具体的には新聞の配達店やパソコン教室など、定期的に高齢者と接するところと連携し、配達員や教室の先生などがどの程度、高齢者の見守りを行えるかを試している。サービス付き高齢者向け住宅などでは室内にセンサーを設置して見守りを行っている例が多いが、高齢者の中には室内にこうした装置を置くことを嫌がる場合もあり、人の目による見守りのほうがいいだろうと判断した。
もうひとつ考えているのが、法的、経済的な環境整備である。たとえば入居者が死亡した場合には賃貸借契約の終了、残置物の処理などが問題になる。大家が入居者死亡をもって契約を終了させ、退去してもらいたいと思っても、一般的な賃貸借では契約は相続人に引き継がれてしまう。
「先人がいないぶん、やりがいがある」
契約期間満了後、確実に退去してもらえる契約として「期間の定めがある建物の賃貸借」である定期借家契約があるが、「借家人が死亡するまで」は「期間」とはならないと解釈される。また、残置物は勝手に処分するわけにはいかないし、処分するには費用がかかる。こうした大家の不安を解消できれば、貸してもよいと考える人も増えるのではないか。
「現在も高齢者自らが造った住宅の仲介を頼まれるなど、さまざまな人と連携していますが、これからは士業を含めた幅広い職種の人との協業の必要性を感じています。現在も、これからも長く試行錯誤が続くでしょうが、先人がいないぶん、やりがいがあるので、地道に粘り強く続けていきたい」(山本氏)
これまで30年間解決できなかったことが、簡単に解決できるはずはない。しかし、どんなに時間がかかろうが、誰もが自分がしたい暮らしができる社会になることが望ましい。気の長い話だが、誰かが取り組まなければ変わらない。長い目で期待したい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら