東京、名古屋、大阪など6都府県に就職支援活動バスを運行し、さらに東京都港区の虎ノ門キャンパスを首都圏での就活支援に活用するなど、大企業が数多くあるエリアでの就活を支援する。そうしたバックアップ体制と教育・研究力の高さが相まって、卒業生の6割が大手・上場企業に就職している。
工科系は就職率の高い大学が多い。ベスト20には、金沢工業大以外にも九州工業大学(6位)、芝浦工業大学(15位)、東京理科大学(17位)、福岡工業大学(20位)が入っている。大学生の就職環境が悪化しても、エンジニアの需要が極端に下がることはなく、そうした時期でも高い就職率を維持していることが評価されているようだ。
3位の法政大学は10年前の同調査の7位から大きく順位が上がった。同大の2017年春の志願者は11万9206人となり、2年連続で10万人を超えている。志願者増の背景には、MARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)で初の女性総長である田中優子総長が好感を持たれていることやキャンパス改革など、さまざまな要因が考えられるが、就職に対する評価の高さも一因であろう。
現在の就活サポートは、就職先の紹介や就活のノウハウを伝えるだけにとどまらない。学生時代を通してキャリア感を育み、その延長線上のミスマッチのない職業を選ぶための支援が主流であり、中心はキャリアセンターが担うケースが多い。
キャリア教育の草分けは立命館大学
その草分け的な大学が4位の立命館大学だ。1979年に「就職問題は教育問題」であることを全学協議会で確認し、1999年には他大学に先駆けて就職部をキャリアセンターに改組した。同年に東京オフィスも開設している。
また立命館大は、大学のスケールメリットを学生支援に生かし、豊富な支援メニューや多様な業界の企業の学内セミナー招聘、さらに卒業生を巻き込んだ支援を行っている。
大規模大学ながら、学生の進路希望把握率は91.2%で、進路把握率が98.2%と、きめ細かな支援を併せ持つ。こうした取り組みが高い就職力として証明されているため、ランキングの上位に入っているのだ。
東京大学や京都大学でもキャリアサポートの部署が設置される中、8位の慶應義塾大学はキャリアセンターを持たない。2016年卒の学生の就職状況は、みずほフィナンシャルグループ174人、三井住友銀行114人、東京海上日動火災保険100人など大企業に強い。それにもかかわらず、意外に順位が低いのは、就職力の高さを大学の支援と結びつけて考える教員が少ないからかもしれない。
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