イエレン議長の試練はトランプ政権の圧力だ 雇用を増やすのは「強いドル」か「弱いドル」か
3月3日、FRB(米国連邦準備制度理事会)のイエレン議長は3月会合での利上げを強く示唆した。非常に重要なので、講演内容を第一人称の視点で簡単に振り返ろう。
国内経済の好調さと海外リスクの後退
われわれFOMC(連邦公開市場委員会)は、政策決定の理由と戦略の基本原則について、可能なかぎり明確に説明すべきだと固く信じている。
2014年。FOMCが、金融危機以後に続けてきた緩和の「強化」から「段階的縮小」へ舵を切った年である。しかし、その後の緩和縮小ペースは、舵を切った時点でのわれわれの予想よりもゆっくりだった。予想外のショックと、米国および世界経済の構造分析に基づく判断だった。
一方、依然としてゆっくりとした緩和解除が正当化される状況ではあるものの、今や、デュアルマンデートの目標に近づき、経済見通しが大幅に悪化するような新たな事態は起きていない。とりわけ心強いのは、海外リスクの後退である。つまり、現時点で想定される緩和解除ペースは、2015年や2016年に想定していたほどゆっくりではない、ということである。
現在の中立的な実質金利は、その長期的水準とみられる1%よりも低い、ゼロ%程度とみられる。これに対して実質政策金利はマイナス1%であるから、現在の金融政策は「まあまあ緩和的」といえるだろう。長期的な労働力人口の伸び(毎月7万5000~12万5000人)をはるかに超える雇用が生まれている事実も、緩和的という評価と整合的である。
インフレ率が2%に届かぬ中では、まだこうした緩和的スタンスが適切だが、目標とのギャップが縮小するにつれて利上げが必要になってくる。実際、今月下旬の会合で、われわれは経済がわれわれの見通しどおりに推移するのかどうかを議論し、もしそうなら利上げが適切だろう。
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