日本株を支えている「見えない存在」の正体 「ビミョーな円高」でも3月は下げにくそう
3月2日の日本株は、日経平均株価が一時1万9668円をつけ、取引時間中の昨年来高値を更新した。だが、米国株式市場ではNYダウが2万1000ドルを上抜ける大幅高(1日の終値は2万1115ドル)となるなど、異次元のゾーンに突入している。米国のトランプ大統領が「目を見張るような減税策」という言葉を使った後に限っても、NYダウは5%超上昇した。実際のところ、施政方針演説では、目新しい内容は確認できなかったが、大統領選挙の勝利宣言以来の「大人のトランプ」を演じたことから、市場では警戒感が一気に後退。売り方の買い戻しなどを誘う格好となった。
円安ドル高になりそうで、為替は「こう着状態」
為替市場では、「3月利上げ観測」が一気に強まっているが、ドル円相場は1ドル114円前後とやや伸び悩んでいる。1月3日につけたドルの高値118円60銭からは5円弱円高である。それでも、日経平均は昨年来高値更新を試すなど強さが目立つ。米国株の上げと比べると上値が重いとみる投資家もいるだろうが、この為替水準を考えると、日本株は強いといってよい。日本企業の「円高耐性力」が高まっていることもあるが、「日経リンク債」設定に絡んだ買い需要が、日経平均を下支えしていることも理由の一つにあげておきたい。
では、なぜ「日経リンク債」設定にからんだ買い需要が株価を下支えするのだろうか。まずはその前にドル高がなかなか進まない理由をさぐるためにも、米国市場の状況を確認しておこう。トランプ大統領の施政方針演説に関心が集中していたなか、市場では有力連銀総裁の「タカ派発言」が連発した。2月28日に発表された2016年10-12月期米国内総生産改定値は前期比年率+1.9%にとどまり、市場予想を下回った。
この時点で3月利上げの可能性は低下したのだが、米サンフランシスコ連銀のウイリアムズ総裁は「3月の米連邦公開市場委員会(FOMC、14~15日)で利上げを真剣に協議することになる」と指摘し、3月利上げへの期待がにわかに広がった。さらに、NY連銀のダドリー総裁も、米CNNとのインタビューで「利上げの主張は、より説得力のあるもの」との見通しを示しており、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が算出する米金利引き上げの時期をめぐる数値(Fed Watch)で、「3月利上げ」の確率は60%を超えた。これは、先週が20-30%だったことを考慮すると猛烈な上昇だ。
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