イエレン議長の試練はトランプ政権の圧力だ 雇用を増やすのは「強いドル」か「弱いドル」か
3月FOMCが利上げに踏み切る場合、はたしてトランプ大統領はツイッターでどんな反応を見せるのか。それともスルーするのか。
選挙期間中、トランプ大統領はテレビインタビューで「金利を上げれば、そしてドルがあまりに強くなれば、とても大きな問題が起きるだろう」とも述べていた。就任前の記者会見(1月10日)では、「神が創った史上最高の雇用の作り手」を目指すと高らかにうたい、就任演説でも「米国製を買い、米国人を雇う」という方針を表明した。米国内の雇用創出に強いこだわりを持ち、そのためには貿易赤字の縮小が重要だと考えているトランプ大統領にとって、ドル安、すなわち低金利政策を維持することが望ましい。
「強いドルか、弱いドルか」トランプ氏の悩み
しかしトランプ大統領自身、こうした結論に不安を覚えているようだ。およそ1カ月前、トランプ大統領がフリン大統領補佐官(国家安全保障担当、2月13日辞任)にかけた1本の電話が話題となった("Leaks Suggest Trump’s Own Team Is Alarmed By His Conduct," The Huffington Post, 2月7日)。
電話の日付は明らかではないが、報道によれば「強いドルと弱いドルのいずれが米国にとって望ましいか」という経済問題について、問いただしたという。
コーン大統領補佐官(経済政策担当)や、ナヴァロ大統領補佐官(通商・製造業政策担当)など、ホワイトハウスに経済専門家がいないわけではなく、なぜ元陸軍中将のフリン補佐官に為替問題を聞いたのかはまったくの謎である。とはいえ、報道が事実なら、トランプ大統領は為替政策について自分自身の意見が定まっていない可能性がある。
ドル安は貿易赤字を減らす効果が期待できるが、究極の目標である雇用の増加には米国に投資を呼び込むほうが手っ取り早い。そのためトランプ大統領が、米国への資金流入による「強いドル=ドル高」を受け入れるシナリオもありうる。
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