トランプ演説は「市場の信頼」をつなぎとめた

「有言実行政権」の看板は維持されている

一方、多くの米国の主力企業の幹部が米国内での工場建設などの設備投資を実行すると約束する中、一部にはトランプ氏の「新たな方針」に懸念を示す向きもある。

例えば、GEのイメルトCEOは「われわれの国は世界から切り離されつつある。貿易での指導力は一段と後退するだろう」とし、トランプ政権が進める保護主義的な貿易政策に懸念を示している。イメルト氏は「これまでの時代に経済成長の原動力となった考え方に深い疑念が生じている」と指摘し、「革新、生産性、グローバリゼーションといった考え方に異議が唱えられ、保護主義が台頭している」との認識を示している。

もっとも「競争力を促進するため、われわれは長年にわたる悪い規制や経済慣行を修正しようとしている」とし、トランプ政権による規制緩和に期待する姿勢も見せている。このように、今回のトランプ氏の大統領就任は、米国の主力企業にも大きな影響を与えている。トランプ氏がビジネスマン出身であることを考慮すれば、最終的に米国の大企業に不利になる政策が実行される可能性は低い。つまり、今後の米国経済や企業の将来に不安を抱く必要は当面はなさそうだ。

市場関係者の中には、「トランプ政権の誕生で、米国には大きなリスクがある」とし、さらに歴史的割高圏にあることを指摘し、「米国株は急落する」として、米国株投資に慎重な姿勢を示す向きも少なくなかった。

「米国の株価」は、まだ割高ではない

しかし、現実的にはダウ工業株30種平均は2月27日まで12日連続で過去最高値を更新した。これは30年ぶりのことである。いま、米国株式市場が歴史的な上昇局面に入ったとすれば、あまりに慎重な姿勢では、完全に乗り遅れそうだ。

米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏は、「米国経済はこれからもわれわれの子孫に多くの富をもたらすだろう」と発言している。これは、バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの株主に宛てた毎年恒例の手紙に記された言葉だ。

バフェット氏は米国経済の将来に明るい見通しを示している。同氏は、「技術革新や起業家精神、潤沢な資本が米国の原動力」と指摘し、「米国株は今後も上昇を続けるだろう」と予想している。そして「今日生まれてくる赤ん坊が歴史上、最も恵まれている」ともしている。さらに、米国株式市場について「足元の金利水準を踏まえれば、米国株は安い方だ」とし、「バブルの領域にはない」と言明している。

もし金利が急上昇した場合には、株価は割高になる可能性があるとしているが、そのような局面になるのはまだかなり先であろう。バフェット氏は、トランプ大統領の政策については、「国家の安全性や米国経済の全般的な動向などを見極めた上で判断する」とする一方、「米国経済は今後4年にわたり、いかなる政権下であっても順調に推移する」との見方を示している。

確かに、バフェット氏はトランプ政権が誕生したからといって、株式投資を止めただろうか。むしろ、例えばアップル株の買い入れを増やしているのである。トランプ政権の政権運営がよほど市場に受け入れられないものにならない限り、当面、大きな心配は必要ないかもしれない。バフェット氏の言葉も踏まえ、今後も米国株を中心とした運用を継続することが、資産形成において極めて重要であることを再確認しておきたい。

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