日産ゴーン氏、社長を辞めても変わらぬ野望 「1000万台」グループの指揮に全力を注ぐ
2016年11月、東洋経済のインタビューで自動車産業で成し遂げたい夢を尋ねられたゴーン氏は、「日産は財務的な健全性を回復し、競争力の強い会社になった。これはもう終わったこと。引き続き強化しなければならないのは連合の力だ」と語っていた。
日産・ルノー連合の力を強化するうえでカギを握るのは、新技術の開発速度を引き上げることだろう。
今年1月に米ラスベガスで開かれたCES(家電見本市)に日産は初出展。基調講演を行ったゴーン社長は、「電気自動車、コネクテッドカー、自動運転といった技術を同時に1社では開発できない。社内にない技術は(社外と)協力してイノベーションを起こす」と話し、異業界を含めて他社との連携を加速させる考えを示した。自動運転技術において日産は、すでに米国のNASA(航空宇宙局)、イスラエルのモービルアイ、日本のディー・エヌ・エーとパートナーシップを結び、共同開発を進める。
他社と連携したり、技術やプラットフォームの共用化を進めたりするうえでも、連合メンバーである日産、ルノー、三菱自、ロシアのアフトワズがバラバラに動いていては効率が悪い。
ゴーン氏は持株会社トップのような存在に
かつてゴーン氏の下で日産役員だった部品メーカー首脳は「連合の一体経営をより強化する観点からも、ゴーンさんは持株会社のトップのような役回りに徹したいのではないか」と話す。実際、ゴーン氏が会長職に就いた三菱自ではCEOは益子修社長が担う。日産からは全幅の信頼を置く生え抜きのトレバー・マン氏をCOOとして送り込んだ。任せられる仕事はどんどん任せる姿勢だ。
一方で出身母体のルノーではまだCEOの座にとどまっている。任期は2018年までで、そのときにゴーン氏は64歳になる。ルノーではCEOの定年は65歳だが、任期中に再任されれば4年延長ができ、ゴーン氏は68歳までCEOの職にとどまることになる。だが連合の仕事に専念したいのであれば、ルノーのCEOもあと1年ほどで退任するのかもしれない。
今年に入って日本ではトヨタとスズキが業務提携で合意。ルノーのおひざ元であるフランスでは、PSAプジョーシトロエングループがGMの欧州子会社である独オペルや、マレーシアの国民車メーカー、プロトンの買収に意欲を示すなど、自動車業界では合従連衡が進む。ちなみにPSAの現CEOは、かつてルノーCOOとしてゴーン氏と二人三脚で経営に取り組んだカルロス・タバレス氏。ゴーン氏が意識していないはずはない。
日産やルノーのお家芸とも呼べる電気自動車では米テスラが急速に追い上げており、3万5000ドルからの量販価格帯で新型車を2017年にも発売する計画だ。VWやトヨタもEV開発を加速させている。
変化の激しい時代に日産・ルノー連合を今後も正しい方向に導き、競争力を引き上げることができるか、日産のトップを退任してもなお、ゴーン氏の担う責任は重い。
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