ベテラン弁護士が「離婚はやめろ」と説くワケ

1万人の人生からわかった「幸運」を呼ぶ法則

「感謝しないと、ばちが当たる」

奥さんは心底、そう思ったそうです。

その夜、いつものようにご主人はお酒を飲み、酔っ払って帰ってきました。しかし、奥さんは少しも腹が立たなかったそうです。

あんなに暑い中、汗水を垂らして働いたのだから、仕事の帰りに冷たいビールくらい飲みたくなって当然だと、ごく自然にご主人を許せました。

いつもとは違い、帰ったご主人を「お疲れ様でした」と労(ねぎら)い、温かく迎えたのでした。

すると、次の日、ご主人は飲み屋には寄らずに真っすぐに家へ帰ってきました。そして、驚く奥さんにこう言ったそうです。

「いつも遅くなってすまなんだな。これから、なるべく控えるわ」

奥さんがご主人への態度を改めると、ご主人も奥さんへの態度を改めたわけです。離婚訴訟で夫婦が争うという事態はこうして回避されました。

先日、この女性と久しぶりに会う機会がありました。あれから、随分経ちましたが、夫婦仲は円満なまま、幸せに暮らしているとのことでした。

夫婦仲が悪くなると、お互い悪いところばかりが目につくようです。でも仲が悪くなる理由は往々にして、どちらか一方だけにあるのではなく、双方にあるものです。

相手の世話になっているところや、迷惑をかけてしまっていることに気づくと、自然に感謝の気持ちが湧いてきます。そうすると、争いも自然になくなるようです。

「相手に感謝すれば、争いを避けられる」

このご夫婦は、奥さんの感謝により争いを避け、一生ものの幸運を手に入れたのでした。

離婚はあなたの運を落とす

半世紀近い弁護士生活のなかで多くの人の人生を見させてもらいましたが、離婚は不幸の入り口になることが多いというのが実感です。

訴訟になれば、長年、一緒に暮らしてきた者同士が、互いの悪いところを徹底的に攻撃し、なじりあうのですから、気持ちがいいはずがありません。勝とうが負けようが、心に大きくて深い傷を残すことになります。夫婦として暮らしてきたあの年月はなんだったのかと、空しくなる結果になります。

だから私は、離婚したいという相談者が来たら、まず、思いとどまるようにお勧めすることにしているのです。

おカネにはならなくとも、争いを減らして、少しでも幸せのお役に立てるのなら、こんなにいいことはないと思っています。たとえおカネにならなくても、私は心からの満足感を得ることができます。

この文を読んでくださっている皆さんのなかで離婚を考えている人がいらっしゃいましたら、いったん怒りの気持ちを手放して、相手にお世話になっていることや迷惑をかけていることにも思いをめぐらしてみてください。案外、感謝すべきことに気づくものです。

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