元夫と事実婚を続ける妻の独特な「結婚観」 1人目の夫との子は、実の祖父母と養子縁組み

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と言い募りつつ、「私はマイペース。それを乱されるとイライラする」とわがままぶりを自覚している。正彦さんもさすがにあきれ顔だ。離婚した正彦さんが近所に別居してからはケンカすることがなくなった。

「私は好きな男性といつも一緒にいたいけれど、一緒にいるとケンカしちゃいます。矛盾しているんです。だから、今みたいな近距離恋愛がちょうどいいと思っています。スープの冷めない距離で別々に暮らすのがいちばん心地いい。父親としての正彦は信用しているので、3人目の子どもも作りました。私生児扱いです。籍を入れるのを待っていたら、子どもが産めない年齢になってしまいます」

近所に住む正彦さんは父親としての務めをちゃんと果たしており、佳代さんとの仲も良好だ。それでも佳代さんは正彦さんと再び婚姻関係になることを保留している。

籍を戻さない理由

「男性は結婚の上にあぐらをかくからです。『オレは何をしても大丈夫。夫の座は揺るがない。ケンカをしても元のさやに戻る』と思っています。正彦は完全にこのタイプです。ヤバい状況にならないと頑張らない。夏休みの宿題を最終日になって必死にやる子どもみたい。だから、私との関係にも危機感が必要なんです」

学生時代よりもはるかにカッコよくなり、この春からは大企業の正社員にもなる正彦さん。32歳の独身者だ。しかも1人暮らし。明るくて謙虚で感じがいい。モテる条件がそろっている。彼が他の女性を好きになったら佳代さんとの関係はすぐに終わってしまう。佳代さんはそのリスクも受け入れたうえで、別居および事実婚を選んでいる。

さまざまな実体験を基にして、自分たちにとってそれがベストな結婚の形だと悟ったのだろう。まねはしたくないけれど、3人の子どもたちを含め、それぞれが健康で幸せに暮らせているのなら、他人の筆者がとやかく言うことはない。それはそれでひとつの家族のあり方なのだと思う。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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