元夫と事実婚を続ける妻の独特な「結婚観」 1人目の夫との子は、実の祖父母と養子縁組み

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5年後、正彦さんの両親の猛反対を無視して結婚した。佳代さんが押し切ったわけではない。佳代さんに振り回されるのが好きな正彦さんが結婚を望んだのだ。佳代さんは歳の差婚希望の人に言いたいことがあるという。

「歳の差婚は年下が年上に惚れているときのみ成立します。逆だと気持ち悪いだけですよ。特に女性が年上の場合は相手に引け目を感じたら絶対ダメ。年下男はすぐに調子に乗るので、お母さん代わりになった揚げ句に捨てられるからです。勇気を出して年上であることを忘れましょう」

佳代さんの恋愛と結婚にはあまり共感できないが、このアドバイスは一理あると思う。相手を尊敬することとコンプレックスを感じることは違うのだ。恋人や配偶者が若さを誇るような愚かなまねをしたら、その人のためにも徹底的に叱るべきなのだろう。

「佳代さんは無茶苦茶面白いでしょう。僕にはない魅力があって引き込まれます。頭だって僕よりもはるかにいい」

洗脳されているのではないかと心配になるほど、正彦さんは佳代さんを絶賛する。好きなだけではない。自分を変えてくれたという実感があるのだ。

独自の男性論を展開する佳代さん

「正彦は顔は悪くないのに服のセンスがすごく悪かったんです。髪型も含めて全部変えさせました。私はおカネがない人も嫌いです。でも、お金持ちに乗り換えたりはしたくない。この人だと私が選んだ人に頑張って稼いでほしい。だから、転職試験の面接練習もしてあげました。男の人はいつもお尻をひっぱたかないとダメになります。許してあげると際限なくだらしなくなるんです」

再び独自の男性論を展開する佳代さん。実際、彼女にお尻をひっぱたかれた正彦さんは2度の転職を成功させ、この春からは誰もが知る大企業に勤めることが決まっている。ただし、2人の関係は事実婚のままだ。なぜ離婚をしたのか。そして、なぜもう一度結婚しないのだろうか。

「長男が生まれて2年目の夏に別れました。ケンカが多くなりすぎてやっていけないと思ったからです。ケンカの理由は小さなことですよ。たとえば、彼が洗い物を洗濯かごに入れない。何度言っても直さない。私が怒っても彼はちゃんと謝らない。それでは怒りは鎮火しません。

子どもの世話があるので口をきかないわけにはいかないけれど、心の中で火はずっとくすぶっているんです。それが積み重なって、あるときに限界に達したのだと思います。浮気やギャンブル、DVなどが原因でない離婚の理由のほとんどは、私と同じではないでしょうか」

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