『就職四季報 優良・中堅企業版2018年版』は、個別企業ごとの採用動向や、働きやすさを表す指標について、アンケートベースで調査を行い、集計のうえ掲載している。集計対象は『就職四季報 優良・中堅企業版2018年版』で、「採用予定数(内定者数)」(2017年4月入社予定)の欄に有効回答があった2966社のうち、非製造業企業である1848社。調査時点は原則、2016年9月(一部は2016年2月時点)のため、会社によっては、その時点での内々定者数や予定数の場合があることをご了承いただきたい。また、採用計画に基づく予定数の場合は、「予」マークで示し、条件付き回答の場合、注釈欄に記した。
採用人数の第1位は、アウトソーシング(東京都、グループで750人予定)。製造業を中心とした人材派遣・請負大手で、東海や関東地方を中心に全国展開している企業だ。人材派遣・業務請負業を営む企業は、8位にワールドホールディングス(福岡県、子会社ワールドインテックで346人予定)、22位に夢真ホールディングス(東京都、200人予定)、キャリアビジネス(東京都、200人予定)と、複数の企業が上位にランクインしている。
人材派遣のほか量販店、地銀も採用多い
学生にはあまりなじみのない業界かもしれないが、日本の製造業は派遣労働者によって支えられているといっても過言ではなく、いずれも業績は拡大傾向だ。新しい業態のため、離職率の高さや職場環境には注意する必要はあるが、地方勤務も可能なケースが多く、地元就職を希望する就活生には検討の余地がある業界といえるだろう。
2位には大手ホテルグループのリゾートトラスト(愛知県、743人予定)が入った。ランクインした企業にかかわらず、ホテル・観光産業は全国各地で毎年まとまった人数の採用を行っている。インバウンド(訪日外国人)需要が全国に広がっている昨今、大学で学んだ語学力をいかした仕事に就くことができるだろう。
そのほか注目してほしいのが、3位のウエルシアホールディングス(東京都、632人予定)、6位コスモス薬品(福岡県、500人予定)をはじめとする薬局・ドラッグストア業界各社や、5位ノジマ(神奈川県、525人)、9位エディオン(大阪府、グループで300人予定)といった家電量販店各社だ。
これらの業界は、近年は全国で合従連衡の様相を見せており、各地方で大手同士がM&A・経営統合を繰り返して業界再編が進んでいる。経営統合後の豊富な資金力を武器に、それぞれの企業の地盤地域に巨大店舗の出店攻勢をかけており、その流れで採用の強化をはかっている。特にドラッグストア業界は医薬品や化粧品にとどまらず、生鮮食品や日用品も取り扱うようになり、集客に余念がない。家電量販各社も、住宅設備分野に参入したり、インバウンドのショッピング需要を取り込んだりしている。いずれも生活に密着した業態で、底堅い需要がある業界だ。
最後に、20位の西日本シティ銀行(福岡県、203人)や、35位の北陸銀行(富山県、170人)といった地方の優良銀行にも注目だ。毎年、コンスタントに採用活動を続けており、地域に密着して住民の生活を支えているのが銀行業。一部に再編の動きがあるが、継続して採用を行っている銀行がほとんどで、安定的との評価から地元就職では一番の人気業種となっている。就職を希望する就活生は念入りに準備をしてほしい。なお優良・中堅企業版の掲載企業ではないが、みずほフィナンシャルグループをはじめとするメガバンク3社は毎年1000人以上の採用を行っている。
そのほか、外食産業やスーパーといった、生活に密着した業種の企業も多くランクインしている、というのが特徴といえるだろう。
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