世界初!韓国「協同組合メディア」の挑戦 出資は1人3000円以下、全く新しいネットメディアが登場
組合員が編集局と協同で企画記事などを執筆することもできるなど、実際のメディア活動に読者がより参加しやすくなるようだ。さらに、組合員専用の画面には広告を載せない。また、より深い分析が込められたニュースレターを1週間に1本配信を受けることになる。
では、なぜ協同組合への転換を目指すようになったのか。それには、「苦しい台所事情」と、「メディアとして追求したい理想」の両立があった。
「株式会社として設立したものの、これまで株主への配当さえおぼつかなかった」と、朴仁圭(パク・インギュ)組合理事長は率直に打ち明ける。プレシアンの収入の大部分は広告だ。その広告も、韓国経済の不況が続き収入は、右肩下がり。設立以来、何度も特定企業への身売り話や、逆に特定企業による買収の話があったと言う。
また、広告の内容も、たとえば、健康関連分野の広告ひとつとっても、ダイエットや健康食品関連ばかりが目立つようになり、むしろ「不快感を与えてしまうような」(朴理事長)広告で埋まるという、不本意な状態が続くようになった。
特定企業の株式会社になれば経営は安定、でも・・・?
買収されればある程度、経営は楽になる。とはいえ、それを選択しなかったのは、韓国の既存メディアから飛び出し、プレシアンの下に集まった記者たちの「判断によるものだ。
最大手の『朝鮮日報』や『中央日報』をはじめ、韓国の既存メディアの多くに、社主(オーナー)が存在する。たとえば中央日報は、サムスングループ会長の姻戚筋が社主だ。そのため、時には社主の意見で、メディアの主張が特定されてしまうことがしばしばある。「プレシアンには、既存の大メディアが持つ言論活動の枠が決して理想の形ではなく、またその中にいても現状を変えられないと考えた人たちが集まったメディア」と、プレシアン編集局の田洪起恵(チョンホン・ギヘ)局長は説明する。
田洪局長は、将来のプレシアンのあり方を議論した際、二つの選択肢があったという。一つは、企業による買収を受け入れることで、経済状況を改善させるか。もうひとつは独立採算でこのままいくか。だが結局、前者では経済面の安定は得られるものの、「メディアとして不偏不党の報道、われわれが理想と思う言論活動に近づける形ではないのではないか、という意見が多数を占めた」(田洪局長)。
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