大和ハウス工業、「有休取得」にあの手この手 業績上げても長時間労働では賞与引き下げ
「お祭りのようにワーッとやる仕掛けは嫌いじゃない」と、今回の仕掛け人である東京本社人事部の菊岡大輔・次長は照れくさそうに打ち明ける。「そうした騒ぎの中で、自分の働き方を見直すきっかけにできたらそれがいい」というのだ。
ただ、あくまですべては現場の裁量に任せ、強制することはしない。特に展示場などは、せっかくお客さんが来ても、大和ハウスのモデルハウスだけが休みということも起こりうる。機会損失にならないためにと、展示場によっては当番制にして、金曜日ではない日に交代で休むことも想定しているという。
社内からは半強制の休みに異論も
そもそも大和ハウスの中にはさまざまな職種がある。たとえば戸建て営業は火曜、水曜が休み、集合住宅の営業は水曜、日曜が休み、管理部や物流倉庫などの営業は土曜、日曜が休みと休日はバラバラだ。そんな中で金曜午後だけ半強制的に休みを設けることに関して、人事部内でも異論はあったという。だが、「やってみて、間違っていると思ったら取り下げればいいだけ」と、河合克友・副社長はあっけらかんとしている。「今までも自分で作った制度で、時代遅れになったものやダメなものはどんどんやめてきた」と、失敗しようと意に介さないという。
河合副社長があきれたのは、プレミアムフライデーの導入が決まったことを聞いた部下が、「お、金曜の午後から時間が空くぞ。会議の予定を入れよう」と、うれしそうに言ったのを聞いたときだ。「休むことを強制はしないが、制度の趣旨を理解し、休むために仕事の仕方を工夫してほしい」と訴える。
営業部門を納得させることも大変だった。顧客の理解が得られない、というのだ。一方で、働き方改革に積極的に取り組んでいる会社だと世間に認識されれば、イメージアップにもつながる。消費者がブラック企業に厳しい視線を注ぐ中、適切な労働環境を作り上げるのは、業績向上と同様に重要な経営課題となってきているからだ。
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