芸能事務所の「特殊かつ旧態依然」とした体質 2人の「清水」が起こした引退・活動休止の背景

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

それだけに、さらに疑惑を深めてしまう言い訳のようなコメントは、正しい初動対応とはいえません。事実として、今回の発表は多くの人々が「稚拙な言い訳」と感じているようですし、「本人の会見なしで乗り切れる」と思っているところに芸能事務所の隠蔽体質が表れています。

もし芸能事務所の人々に「見ている人あってこその芸能活動」という強い意識があれば、一般の人々に「だまされないぞ」と思われてしまうようなコメントはしないでしょう。芸人の不倫ですら許されない時代になった今でも、いまだ芸能界が絶対的なあこがれで、尊敬を集めていたころの感覚を引きずっている気がしてならないのです。

ワイドショーの出演者たちは、こちらのニュースに関しても、芸能事務所の体質に疑問を呈することはありませんでした。その意味では、「気づいていながらも現状を変えられないテレビマンたちが問題の一端を抱えている」ともいえるでしょう。

人々の暮らしに溶け込む芸能界へ

週末に飛び込んだ2つの芸能ニュースは、「宗教団体への出家」「闇カジノでの違法賭博」という強烈なフレーズでセンセーショナルに報じられましたが、くしくも浮き彫りになったのは芸能事務所の体質。密接な関係性のあるテレビ業界、広告業界、音楽業界、出版業界なども時代の流れに応じて変化しはじめているなか、芸能界だけが身動きが取れない状態なのが気掛かりです。

いわゆる大手芸能事務所の「ドン」と呼ばれる大物たちは高齢であり、「世代交代が進まないという原因がある」としても、年々賢くなり、情報収集力が上がる一般の人々は旧態依然とした体質を見逃してはくれません。いまや所属タレントだけでなく芸能事務所の名前も知られるなど、厳しい目にさらされているのは明白であり、それをスルーできない状況にまで来ているのです。

現在、タレントや芸能事務所に最も求められているのは、「正直さと親近感」。芸能界だけに通じる常識や慣習をいかになくし、かつてのような雲の上の存在ではなく、「人々の暮らしの中に溶け込んだ芸能界」を確立していくことが期待されているのです。自らの意思で表舞台に別れを告げた清水富美加さんはともかく、清水良太郎さんと遠藤要さんが復帰し、順調な芸能活動を送るためには、芸能事務所も変わらなければいけないでしょう。

報道されていないものも含めて、これまで芸能界では、「才能と意欲にあふれた人材が、苦しい日々を耐えて頑張ったものの、結局つぶれてしまった」というケースがたくさんありました。そのような悲しい事態が減ることを願ってやみません。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事