芸能事務所の「特殊かつ旧態依然」とした体質 2人の「清水」が起こした引退・活動休止の背景

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"仕事の強要"について。富美加さん「水着が『嫌です』と言っても『すでに入っている』とやらされた。『人を食べる』というキャラクターに葛藤を抱えて精神的な限界になった」、事務所「水着は当初は嫌がっていたけど、話し合いを経て納得していた。(葛藤も)特に聞いていないし、むしろ強く希望していた」。

"体調"について。富美加さん「『6カ月安静にせよ』とドクターストップがかかっている。病名は個人情報なので言えない。セカンドオピニオンも得ている」、事務所「そういう認識はまったくない。診断書にも疑問をもっている」。

"契約"について。富美加さん「事務所を辞めると本名すら使えない。体調不良で仕事ができない状態のため、早期の契約解除を希望」、事務所「本人の希望で1年契約になった。法的には1年間の延長が可能で、来年5月20日までと考えている」。

現段階でこれらの真相はわからないのですが、ワイドショーの出演者たちは、仕事の責任問題を盾に"芸能事務所擁護"の立場を取るか、「もったいない」「わからない」とごまかすばかり。しかし皮肉にも彼らのコメントこそが、芸能事務所のパワハラ体質を証明する形になっていたのです。

ベテランタレントには期待できない

2月13日放送の「バイキング」(フジテレビ系)で坂上忍さんは冒頭で、「両者の会見を見ましたが、『幸福の科学』さんは芸能界のプロではないから」と一線を引きました。いきなり「芸能界は特殊な世界なので」とくぎを刺していることが分かります。

続けて坂上さんはラサール石井さんらとともに、「若手の月給5万円は正当なもの」とし、「僕らのときもそうだった」と言い切りました。さらに、「人気が出たあとは、月給か歩合の2択が提示される」と芸能界の仕組みを熱弁して話を進めましたが、思えば「月給5万円」は富美加さんと同じ事務所の能年玲奈さんが独立騒動を起こしたときにも聞いたフレーズ。「旧態依然の体質に問題があるから同じ騒動が起きている」という議論にならないのが、芸能界特有のパワハラ体質を象徴しています。

それどころか、富美加さんの書いた直筆メッセージに対して、「追い込まれていたのはわかるけど、8年間も所属した事務所に対する配慮がないし、さらに事務所や業界批判のツイートをしている」と厳しい言葉を続けました。フィフィさんの「精神を崩していたのでは?」という意見には声を荒らげて認めず、「結果論として仕事を飛ばしちゃっているわけだから」とシャットアウト。結果しか見ないのは、芸能界のベテランらしいといえばそうなのですが、数々の労働問題が取りざたされ、他業界が苦しみながら変革を模索している今、「芸能界だけが変わらずにいられる」という考え方は虫がよすぎる気がします。

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